神奈川県の秦野市内にあり、隣り合う位置関係の東海大学前と秦野。
昔はどちらも異なる駅名で、それぞれ大根と大秦野を名乗っていましたが、同日に改称されたという歴史があります。

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タイミングを意図的に合わせたと考えられる両駅の改称ですが、理由は異なるものでした。
両駅が駅名を改称した理由は、それぞれどんなものだったのでしょうか。

大根から改称された東海大学前

駅名が示すとおり、東海大学の最寄駅である東海大学前駅は、かつて大根という駅名でした。
大根は1927年の開業時から使われていた駅名で、漢字としては「だいこん」と読むのが一般的ですが、駅名は「おおね」と読みます。
小田急が開業した当時、駅は神奈川県中郡の大根村に設けられており、それが駅名の由来となったものです。

そんな大根に東海大学の湘南キャンパスが開設されたのは、1963年のことでした。
大学の最寄駅となったことで、大根は学生で賑わう駅へと変化していきます。

秦野市が駅周辺の整備事業を行うにあたり、小田急は大根の橋上駅舎化を行うこととなりました。
橋上駅舎化においては、東海大学が費用の負担をしているようですが、利用者等の要望もあったため、同時に駅名の改称が行われます。
1987年3月9日に橋上駅舎の使用を開始するのに合わせて、駅名は東海大学前に変更されました。

一方で、開業時の村名であった大根を惜しむ声もありました。
そんな歴史ある駅名を後世に伝えるため、駅前には記念碑が設置されています。

大秦野から改称された秦野

大根の駅名が小田急から消える日、隣にある大秦野でも大きな動きがありました。
現在は秦野という駅名に変わっていますが、当時は開業時から続く大秦野という駅名で、「おおはたの」と読みました。

小田急が開業した当時、付近には湘南軌道という軽便鉄道が走っており、既に秦野という駅が存在しました。
元から存在する駅と区別するため、小田急は頭に大を加えた駅名となったものです。
しかし、湘南軌道は小田急の開業から僅か10年ほどで廃止になってしまい、結果的に大秦野という駅名だけが残ってしまいました。

当然の成り行きではありますが、秦野駅がなくなってしまったことで、地元からは大秦野を市名と同じ駅名にしてほしいという要望が寄せられるようになります。
そこで、1987年3月9日に大を外した秦野へと駅名が改称され、読み方も濁りがある「はだの」となりました。

おわりに

同日に改称しながらも、理由はそれぞれで異なっていた東海大学前と秦野。
改称により発生する費用を抑えるべく、同日にタイミングを合わせたということなのでしょうね。