かつての急行は優等列車の中心的存在でしたが、現在は快速急行がその立場へと代わり、小田急の中では棲み分けがされています。
本線である小田原線では、同じ時間帯に両方の列車が走っており、急行が快速急行をサポートする役割となっています。

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新宿から新百合ヶ丘にかけては、快速急行のほうが急行よりも停車駅が少ない状態となっていますが、両種別の停車駅を比較してみると、市区町村との興味深い関係に気付かされます。

急行の停車駅と市区町村

優等列車の中心として設定されていた急行は、快速急行の本数が増加することに合わせて、徐々にその立場を変えてきました。
決定的だったのは2016年のダイヤ改正で、快速急行を優等列車の中心に据え、急行はそれを補う役割を担うこととなりました。

快速急行が主力になる前と比較して、急行の停車駅は若干増加してはいますが、大きくは変わっていません。
急行の上位種別として快速急行が登場した背景もあり、ある程度完成形だったといえそうです。

さて、そんな小田急の急行ですが、小田原線内の停車駅を市区町村ごとに分類すると、興味深い事実に気付きます。
まずはその結果を見てみましょう。

新宿区:新宿
渋谷区:代々木上原
世田谷区:下北沢・経堂・成城学園前
狛江市:-
川崎市多摩区:登戸・向ヶ丘遊園
川崎市麻生区:新百合ヶ丘
町田市:町田
相模原市南区:相模大野
座間市:-
海老名市:海老名
厚木市:本厚木・愛甲石田
伊勢原市:伊勢原
秦野市:鶴巻温泉・東海大学前・秦野・渋沢
足柄上郡松田町:新松田
足柄上郡開成町:開成
小田原市:小田原

結果はこのようになっており、どの市区町村にもある程度停車駅が分散し、極端な偏りはあまりないことが分かります。
急行が実質的な各駅停車となる本厚木から新松田までを除くと、複数の停車駅があるのは世田谷区と川崎市多摩区のみとなります。
以前は経堂が停車駅ではなかったため、2駅ずつだったともいえそうです。

一方で、全く停車駅がない市区町村もあり、狛江市と座間市が該当します。
狛江市は日本で2番目に小さい市であるため、やや仕方がない面もあるといえそうですが、現在は準急停車駅となっており、調整が図られているようにも感じます。
座間市についてはやや冷遇されているともいえ、相武台前に急行を停めてほしいという要望が出ることもうなずけます。

快速急行の停車駅と市区町村

急行の停車駅がある程度分散していることは分かりましたが、快速急行についてはどうなっているのでしょうか。
いくつかの駅を外すと、それが快速急行の停車駅となりますが、なかなか面白い結果となります。

快速急行についても市区町村別に分類してみると、以下のとおりになります。

新宿区:新宿
渋谷区:代々木上原
世田谷区:下北沢
狛江市:-
川崎市多摩区:登戸
川崎市麻生区:新百合ヶ丘
町田市:町田
相模原市南区:相模大野
座間市:-
海老名市:海老名
厚木市:本厚木・愛甲石田
伊勢原市:伊勢原
秦野市:鶴巻温泉・東海大学前・秦野・渋沢
足柄上郡松田町:新松田
足柄上郡開成町:-
小田原市:小田原

急行では複数の停車駅があった世田谷区と川崎市多摩区についても、快速急行では見事に一つとなります。
足柄上郡開成町は停車駅から外れてしまいますが、ほぼ全ての快速急行が急行に種別を変更していることを考慮すれば、開成も快速急行の停車駅といえなくはありません。
快速急行の停車駅として加わった登戸や、急行の停車駅となった開成は、結果的にその市区町村の穴を埋めることになっているともいえそうです。

おわりに

ある程度の距離でバランスよく駅に停車しつつも、よく見ると快速急行が各市区町村に1駅ずつという状態になっている小田急。
市区町村ごとに中心地域があるからなのか、自治体との関係を考慮してなのかは分かりませんが、結果として1駅ずつになっているというのは、なかなか興味深いところですね。