新型車両の導入は喜ばしいものの、多くの場合においてそれは古い車両が引退することを意味します。
さよなら運転等を行って華々しい最後を飾る車両もありますが、ほとんどの編成は利用者が知ることなく、静かに役目を終えて引退していきます。

小田急においても、新旧の車両が入れ替わることが通常の流れであり、現役を引退した車両は多くがスクラップとなってきました。
毎日のように乗客を輸送し続けた車両は、どのように最後を迎えるのでしょうか。

どの車両にも訪れる現役引退の日

車両によって活躍する年数は異なりますが、ごく一部の幸運な事例を除くと、どの車両にもいつかは現役を引退する日が訪れます。
最終的には形式自体が消滅し、見慣れた姿を見ることさえできなくなりますが、多くの車両は利用者が知らないうちに廃車されていくのです。

自動車が車検のタイミングで手放されるのと同様に、鉄道車両も大規模な検査を行う前に廃車となるのが一般的です。
検査をしてすぐに廃車となる等の例外もありますが、こればかりはタイミングに左右される部分で、古い編成が残り、新しい編成が先に引退するといったことが発生します。

廃車となる日はある程度前から決まっていることが一般的で、引退となるその日に向けて車両は最後の活躍をしています。
前日まで元気に走る車両もあれば、少し前から休車となり車庫でお休みするケースもあり、そのあたりは車両によって様々です。
どの車両がいつ廃車になるのかという情報は外部からだと分かりませんが、全車両規模で行われたステッカーの貼り付けが行われない等をきっかけに、引退の日が近いと分かってしまう場合もあります。

現役を引退して廃車となった車両は、多くが解体されてスクラップとなります。
他社に譲渡されて再起したり、保存車両となるケースもありますが、小田急の場合には珍しいといえるでしょう。

小田急の車両はどのように解体されるのか

予め決められていた廃車日になると、車両には解体に向けた準備が始まります。
いつかは訪れることとはいえ、前日まで元気に走っていることも多いため、複雑な感情になってしまうのは私だけでしょうか。

解体作業は、相模大野にある大野総合作業所で行われます。
まずはクーラー等の大きな機器が取り外され、本格的な解体作業に入る準備が進められていきます。

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主要な機器類を外した車両は、やがて解体用に設けられた場所に移動します。
鉄道ファンに販売される車番等も切り取られ、車両はあっという間に廃車体へと姿を変えていき、もう二度と走ることはできない状態となってしまうのです。

昔はこのまま最後まで解体されていましたが、現在は車体を二つに切断するところまでを大野総合車両所で行い、最後は解体業者へと陸送されます。
最終的には完全なスクラップとなり、小田急沿線から離れた地で全ての解体作業が完了します。

おわりに

比較的長く使われることが多い鉄道車両ですが、いつかは現役引退の日を迎えます。
ひたすら乗客を運び続け、知らないうちに姿を消していくという儚さに、大量輸送機関ならではの魅力を感じるのかもしれません。