2022年のダイヤ変更をきっかけとして、日中の時間帯に多く走るようになった6両の急行。
町田から小田原の間で運行され、新松田から小田原までは各駅停車となります。

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減便の流れで多く走るようになった6両の急行ですが、新宿寄りの区間になればなるほど混雑するため、様々な声があがっているのが実状です。
それでも小田急が6両の急行を走らせている背景には、どのような事情が隠れているのでしょうか。

分割併合の廃止による弊害

小田急が2022年に行ったダイヤ変更は、減便による輸送力のダウンサイジングを目的としたものでした。
全線的な規模で列車本数の削減や、両数を短くするといった対応が行われ、小田原線の相模大野から小田原にかけての区間では、6両の急行が多く走るようになりました。

ダイヤ変更の前は、新宿から新松田まで10両の急行を走らせ、新松田から小田原までは6両の各駅停車が補完するようになっていましたが、これを6両の急行に置き換えることで、町田や相模大野から小田原までの運行を一体化したものです。
新松田は小田原方面への折り返しがしにくいため、それを解消する狙いもあったものと思われます。

何が最適解なのかを見定めることは容易ではなく、少なからずどのダイヤにも課題はありますが、相模大野以西において生じている諸問題は、設備に起因する面が大きいといえます。
分割併合を行っていた時代には、途中駅で車両を切り離すことで輸送力の調整をしていましたが、これができなくなってしまったことで、過剰な輸送力を許容するか、不足する輸送力で運行するかという状況になってしまいました。

現状を最適化するために必要な設備

小田急のように路線が長い場合、都心に近いほど利用者が多く、郊外になるほど少なくなることが一般的です。
かつて盛んに行われていた分割併合は、このような輸送力の差を調整しやすく、利用者が多い区間は10両で輸送力を最大化し、空いてくる区間では4両や6両とすることで、効率化を図っていました。

一方で、分割併合にはデメリットもありました。
ダイヤが乱れた際の対応が複雑になることや、性能が異なる車両同士を繋がなければならず、時代が変化していく中で、そのようなデメリットを無視できなくなってきたのです。

そこで、他社でも広く行われているように、小田急も系統を分離することで、分割併合を廃止したのが今の姿ですが、設備の面では抜本的な改良が行われておらず、制限がある中での運用が続いています。
系統を分離するとはいっても、それができる設備のある駅は限られているため、輸送力のバランスが悪くなってしまうのです。

本来は伊勢原か秦野あたりで系統を分離できるとよいのでしょうが、小田原方面との折り返しが可能な設備がないため、町田か相模大野とするか、新松田で強引に行うしかない状況となっています。
収益に直結しないことではありますが、他にも小田原方面に折り返せる駅があったほうが、ダイヤは組みやすくなるのではないのでしょうか。

おわりに

全線を10両で走れるようにするか、系統分離をしやすくするか、現状を抜本的に解決するにはどちらかの対応が必要といえます。
後者の対応のほうが容易にできそうには思いますが、素人が考えるほど簡単ではないのかもしれませんね。