小田原線の起点である新宿駅から1.5kmの位置にあり、明治神宮の最寄駅にもなっている小田急の参宮橋駅。
各駅停車のみが停まる静かな駅で、東口側は緑豊かな明治神宮に沿って線路が通されています。

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そんな参宮橋ですが、過去に待避線の設置が計画されていたことがあるようです。
新宿からは僅かな距離しかありませんが、なぜそのような計画があったのか、理由を考えてみたいと思います。

待避線の設置が計画されたことがある参宮橋駅

相対式のホームを備え、各駅停車のみが停まる参宮橋には、かつて待避線の設置が計画されたことがあるようです。
現在はホームの長さが10両分となっており、待避線を設置するようなスペースはありませんが、計画当時は今よりもかなり短かったため、頑張れば設置できたということなのでしょう。

この待避線に関する情報はかなり少ないですが、鉄道ピクトリアルの110号によると、1959年度時点の輸送力増強5ヵ年計画の中で予定されていたようです。
予算や用地買収が困難であることを理由として、待避線の設置計画は見送られたようですが、どのようなものを予定していたのかが気になります。

情報があまりにも少なく、計画の全貌は全く見えてきませんが、上下線の両方に設置予定だったのか、島式ホームを用いるのか、それとも東北沢のような構造にするのか等、それ次第で使い方も変化しそうです。
早々に設置計画がなくなっているようなので、どの程度の本気度だったのでしょうか。

待避線の利用目的を考える

参宮橋に設置が計画されていた待避線ですが、1960年に新宿の改良工事が開始されていることから、それを踏まえても必要と判断されていたことになります。
改良前の新宿を前提とするのであれば、折り返しを効率よく行うためにという解釈がしやすいものの、そう単純なものではないのです。

素直に解釈すれば、新宿の5本を使っても折り返しの容量が不足する際、先行させた下り各駅停車を待避させる使い方が考えられます。
ラッシュ時やダイヤが乱れた際等が想定されますが、そこまで必要とは感じないのも正直なところです。

上りにおいては、東北沢で待避が可能なことを考えれば、よりギリギリまで新宿方面に各駅停車が先行するためというところでしょうか。
地下ホームが空くのを待つためという使い方や、送り込み回送の待避も考えられそうです。

当時の新宿には荷物電車用のホームがあったため、それをサポートする役目も考えられるかもしれません。
荷物電車用のホームには、一度営業用のホームへと入り、折り返して進入する必要があったため、時間調整ができるというメリットがありそうです。

おわりに

使い方をあれこれと考えてみましたが、絶対になくてはならないといった性格のものではないため、無理をしてまで造らなかったということなのかもしれません。
仮に設置をしたとしても、ホームの延長は困難だったでしょうから、早々に廃止される結果になったのでしょうね。