夜間を中心に、多くの車両が留置される鉄道の車庫。
小田急においても多数の車庫が設けられており、様々な車両が並ぶ光景を見ることができます。

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小田原線を中心に設置されている車庫ですが、それぞれの標高には当然違いがあります。
車両が沢山集まることもあり、浸水リスクが気になるところですが、どのようになっているのでしょうか。

小田急の車庫がある場所の標高

小田急には大小様々な車庫があり、そのほとんどは本線である小田原線に設けられています。
車両の検修施設としては3ヶ所で、それぞれに付随する車両基地もあります。

それらの車庫について、中心となるような位置の標高を調べるため、国土地理院で公開されている情報を参照しました。
各施設における公式な数値ではありませんが、調べた結果については以下のとおりとなります。

・喜多見検車区(喜多見電車基地):23.7m
・大野総合車両所:90.3m
・相武台前電留線:78.6m
・海老名検車区(海老名電車基地):21.9m
・開成電留線:38.4m
・足柄電留線:11.2m
・海老名検車区小田原出張所:14.1m
・喜多見検車区唐木田出張所(唐木田車庫):111.2m

まとまった平地がある場所となると、どうしても標高が低くなるのでしょうか、10mから20mぐらいの場所も多くありました。
最も標高が低いのは足柄電留線で、海が近い小田原さえも下回るようです。

各車庫の浸水リスクはどうなっているのか

地球温暖化等による気候変動により、気象災害のリスクが高まっているといわれています。
以前よりも激しい雨が降る機会は増えていると感じますし、異常気象という言葉もよく耳にするようになりました。

今回のテーマである車庫に関係する気象災害といえば、長野新幹線車両センターで発生した浸水被害の記憶が新しく、120両もの車両が犠牲となっています。
車両が集められている場所であることから、浸水が発生した際の被害は相当なものであり、鉄道ファンとしてはショックなできごとでした。

さて、小田急の車庫についてはどうなのでしょうか。
大量に車両が留置される場所もあり、仮に洪水等による災害が発生した場合には、甚大な被害が発生することになります。

そこで、ハザードマップポータルサイトを用いて、小田急の車庫にどれぐらいの浸水リスクがあるのかを調べてみました。
調べた結果は、全くリスクがないという結果にはならず、車庫により違いもありました。

いずれも洪水による浸水リスクですが、各車庫において想定される深さは、以下のとおりとなっています。

・喜多見検車区(喜多見電車基地):0.5m~3.0m
・大野総合車両所:なし
・相武台前電留線:なし
・海老名検車区(海老名電車基地):0.5m~3.0m
・開成電留線:0.5m~3.0m
・足柄電留線:0.5m~3.0m
・海老名検車区小田原出張所:なし
・喜多見検車区唐木田出張所(唐木田車庫):0.5m~3.0m

結果はこのようになっており、標高とある程度関係しつつ、僅かながら浸水リスクがある場所が多くなっています。
意外なのは唐木田車庫ですが、深く掘り下げられていることから、車庫のある場所だけが浸水リスクのある状態となっていました。
ちなみに、伊勢原市内に今後設置が予定される車庫についても、0.5mから3.0m程度の浸水リスクがあるようです。

数字だけを見ると、かなりリスクが高いように感じますが、長野新幹線車両センターの浸水リスクは10.0mから20.0mだったことから、それに比べればリスク自体は低いのかもしれません。
しかし、ある程度の浸水で車両は再起不能となる恐れがあり、安心できるとまでは言いきれないのでしょうね。

おわりに

小田急に限らず、浸水リスクを抱える車庫は全国に存在するようです。
水害のリスクが年々高まる中で、大雨が予想される際に車両をどう避難させるのか等、頭の痛い問題が今後増えてくるのかもしれません。