鉄道の車内で発生する事件が相次いでいることもあり、防犯カメラの設置が近年は加速しています。
小田急においては、走行中の車内で乗客が刃物で刺される事件が発生し、大きなニュースにもなりました。

事件後には、小田急の車両でも防犯カメラの設置が積極的に進められていますが、既存車両にはどのようにして取り付けているのでしょうか。

全車両に設置予定の防犯カメラ

不特定多数の人が利用する鉄道車両では、昔から様々な犯罪行為が発生していました。
近年は凶悪な犯罪が発生することが多くなった印象で、私自身も乗車中は周囲に気を配るようになり、どこかに不安を感じています。

このような状況下において、車内に防犯カメラを設置する動きが加速しつつありますが、設置自体は10年以上前から行われていました。
しかし、以前は防犯カメラの設置が新造車両に限られていたため、設置率の上昇ペースは遅く、一部の車両にのみあるというのが実状でした。

そのような状態は、事件が相次いだことで変わりつつあり、小田急においても既存車両への設置が進められています。
今後は新造車両に防犯カメラの設置を義務付ける方針も国から示されており、あることが当たり前になる日は近そうです。
小田急においては、2025年度までに設置工事を完了するという方針が示されており、防犯カメラを設置した車両が増えてきました。

既存車両の防犯カメラはどこにあるのか

高い位置に設置し、動作には電力も必要な防犯カメラですが、既存車両にはどのように追加しているのでしょうか。
短期間で設置率を上げるためには、車両の改造等を最小限に済ませ、できる限り低コストで設置できることが求められます。

そのような中で登場したのが、照明器具と一体化した防犯カメラで、蛍光灯をLED照明に置き換えつつ、設置率を上げることができるようになりました。
防犯カメラ用の新たな電源が不要となるため、設置をしやすい状況が生まれたといえます。

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実際の防犯カメラはこのように設置されており、LED照明と一体化したものが使われています。
写真はアンデス電気の製品で、映像は内蔵しているSDカードに記録されるようです。

他にも、MOYAIという会社の製品も使われ始めており、こちらは通信機能も備えています。
車両側に大きな改造をせずに、防犯カメラを設置できる環境が整ったことで、コスト面の問題を別にすれば、以前より設置のハードルは下がっているのでしょう。
他社でも既存車両にはこのような製品を使うケースが多く、今後さらに増えることになるとみられます。

おわりに

照明器具と一体化させ、設置がしやすくなった車内の防犯カメラ。
どこにでも防犯カメラがあるという状態は、それはそれで悲しいともいえますが、現代の状況では仕方がないのかもしれませんね。