本厚木や小田原といった行先に比べて、やや希少性が高いといえる伊勢原行き。
小田急の中では比較的珍しい行先に分類されますが、近年は以前よりも目にする機会が増えてきました。

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そんな伊勢原ですが、始発列車の場合はさらに数が少なくなり、行先の場合とは状況が異なります。
伊勢原を始発駅とする列車は、なぜ少ないのでしょうか。

伊勢原行きと始発列車の本数

昔は設定が少なく、ほとんど見る機会がなかった伊勢原行きですが、近年は行先として掲げる列車が増加しており、時折目にするような存在となりました。
その理由としてあげられるのが、各駅停車で伊勢原まで走る列車や、千代田線から乗り入れる優等列車に設定されるケースが増えたことで、相模大野や本厚木を超えて走るようになっています。

現行のダイヤにおいては、平日に21本、土休日に24本の伊勢原行きが設定されており、多いといえるほどではないものの、とても珍しいという部類ではなくなっています。
平日と土休日では傾向に違いがあり、平日は優等列車での設定が多いのに対して、土休日は各駅停車で目にする機会が多くなります。

ある程度の本数が走っている伊勢原行きですが、始発の列車はどうなのかというと、行先とは違う結果になります。
伊勢原を始発駅とする列車を確認すると、平日は10本、土休日は5本と少なく、朝方の時間帯に集中しているのです。
終点となる列車の本数に対して、始発としての設定は極端に少ないということになります。

なぜ伊勢原駅の始発列車は少ないのか

稀少価値が高い伊勢原を始発駅とする列車ですが、なぜこんなにも少ないのでしょうか。
これには伊勢原の配線が関係しており、向ヶ丘遊園や本厚木のように引き上げ線がなく、折り返し列車とするハードルが高いためです。

伊勢原で列車が折り返すには、到着したホームでエンド交換を行い、そのまま逆方向に出発する必要があります。
終点となる列車は下りホームに入るのが伊勢原の配線ですが、そのまま折り返し列車とする場合には逆線発車となり、利用者への案内がしにくくなるという問題が生じてしまうのです。

こうした事態を回避するためか、伊勢原に到着した列車はあえて回送で折り返し、客扱いをする場合は本厚木からというケースが多くなっており、伊勢原行きがそのまま始発列車となるケースは多くありません。
始発列車が朝方の時間帯に集中しているのは、ある程度伊勢原から乗る需要があることや、ラッシュ時は運行パターンを把握している利用者が多いためと考えられます。
本厚木から伊勢原まではたったの2駅ですが、逆線発車を極力しない小田急らしい運行形態といえそうです。

おわりに

終点として到着する列車に対して、始発となるケースが少ない伊勢原駅。
総合車両所や新駅の設置により、今後変化があるのかも気になるところですね。