昔は多く在籍したものの、長編成化の流れで数を減らし続け、近年は支線等を中心に活躍している小田急の6両編成。
現在は2形式に6両の編成が存在していますが、8000形の廃車が進められていることから、3000形のみになる日が近付きつつあります。

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かなり少なくなってきた小田急の6両ですが、やがて直面するのが新たな6両をどう確保するのかという課題です。
なくすことができない6両の編成をめぐっては、小田急のジレンマが見え隠れします。

効率的な面もあった短編成同士の併結

小田急の急行といえば、途中駅での分割併合を行うのが当たり前、そんな時代がかつて存在しました。
郊外や支線の駅はホームが短かったことや、利用者の増減に対応するためのものでしたが、やがて全線を10両で通して運行する方向に舵が切られていきます。

利用者の増加に合わせて編成を長くしてきた経緯もあり、以前の小田急では複数の編成を繋ぐことが当たり前に行われていました。
編成の中間に先頭車が入ってしまうという問題はありますが、単独で使用すれば各駅停車や支線でも使うことが可能で、柔軟性は高かったといえます。
一方で、分割併合がなくなってくると中間の先頭車は無駄が多く、4両はほとんど使わない運転台がある等、非効率な面が目立つようになりました。

当然のことながら、新車の増備は10両固定編成が基本となり、3000形を最後に6両の編成は小田急に登場していません。
5000形の登場後は4両や6両の編成がさらに減り、小田急に在籍する車両の多くが8両や10両の固定編成となってきました。

現在の小田急では、各駅停車に8両が残っているものの、多くの列車が10両での運行に揃えられ、小田原線の町田以西や支線を中心に、6両での運行が行われています。
一部に4両を残すことを除けば、最終的には6両と10両に統一する方向であると推測され、4両や6両の編成は必要最低限の本数になるものと思われます。

忍び寄る短編成の車両をめぐるジレンマ

固定編成化を進めている小田急では、最終的に複数の編成を繋いでの運行自体をやめる可能性が高いとみられます。
近年は走行中の車内での凶悪犯罪行為が目立ち、通り抜けができない部分があることが問題視されるようにもなりました。
3000形のリニューアルにおいては、他の編成と連結する機能自体を撤去しており、これも併結をやめていく方向性を示しています。

固定編成化が進むと、小田急においては車両の用途が限られるという現象が発生します。
その状況下では、優等列車での運用が多い10両は走行距離が延びるのに対して、各駅停車での運用が中心となる6両は、どうしても走行距離が短くなります。
複数の編成を繋いでいた時代は、運用によって走らせ方を変えることができたほか、古くなった車両を支線で集中的に使う等、使い方に幅を持たせることができました。

最前線から後方支援にまわっていく、かつてはそんな使い方ができましたが、固定編成を中心にする場合はそうもいきません。
6両が最低限の在籍本数となれば、その6両を置き換えるための車両が必ず必要になります。
その場合には、6両の編成を新造するか、8両や10両の編成から中間車を抜き、6両化をする必要が生じてしまうのです。

新たに6両を用意することは、小田急にとっても今後はジレンマになってくるものと思われます。
6両を新造する場合には、古い編成と入れ替えるだけのシンプルな対応になるものの、最初から支線等を中心とした使い方になり、走行距離が延びないというもったいない状況となります。
既存の編成を短縮する場合は、改造に伴う費用の発生や、余剰の中間車が発生するという問題があり、短縮後に使用できる期間も限られてきます。

どちらの方法を選んでも、一長一短があるというのが、今後の6両をめぐる状況といえます。
3000形の初期車がリニューアルされる可能性は低いため、8000形の引退後には遅かれ早かれこの問題が顕在化すると考えられ、小田急はその際にどちらの選択肢を選ぶのでしょうか。

おわりに

かつての支線では、古い車両ばかりが走っているのが当たり前でした。
現在は3000形がそのような立ち位置にいますが、登場から20年程度が経過しつつあることを踏まえれば、昔と同じ状況が再現される最後の機会なのかもしれませんね。