昭和の終わりから平成の初期にかけて、ロマンスカーの主力として活躍した7000形(LSE)と10000形(HiSE)。
後にLSEはリニューアルでHiSEに準じたカラーリングとされ、展望席がある車両としてイメージが揃えられました。

20180310_06

登場時から足回りを中心に共通点が多い両形式ですが、どのような違いがある車両だったのでしょうか。

LSEとHiSEに存在する違い

前面展望席を有するロマンスカーとして、基本的な部分が似ているLSEとHiSEは、それぞれ1980年と1987年に営業運転を開始しました。
この時期はロマンスカーの在籍両数が増加し続けており、その後の黄金期へと繋がっていくこととなります。

7年という比較的短いスパンで登場した両形式ですが、デザインやカラーリングは当然のことながら、他にも様々な面で違いがあります。
外見上においては、HiSEの前面に愛称表示器がなくなったことが目立ち、先頭車の側面に配置されました。
LSEはリニューアルの際にHiSEとカラーリングが揃えられましたが、色味や細部の配色はかなり異なり、あくまでもイメージが揃えられたといった具合でした。

車体については、先頭車の長さは変わらないものの、中間車はHiSEが100mm長いという違いがあります。
同じように展望席を備える車両ながら、HiSEは運転室を前方に出し、展望室と一体化したデザインとされたほか、前面の傾斜角はより一層シャープなものとなりました。
普通鋼製というのは変わらないものの、HiSEは床板と屋根板をステンレス化して腐食防止を図っています。

床が通常の高さとされたLSEに対して、HiSEはハイデッカーを採用したことが最大の特徴ですが、側窓も高さを100mm拡大しています。
ハイデッカーを採用したことで、冷房装置は床下に移されており、パンタグラフも下枠交差型を採用しました。

7年の差で登場しているにもかかわらず、多くの面でHiSEが進化していたことが分かります。
内装については割愛しますが、細部に改良を加えての登場でした。

足回りに見えるLSEとHiSEの共通点

そもそも形式が別であり、違いがあって当然ではありますが、それをあえて比較したのは共通点もあるためです。
HiSEはLSEの基本設計を踏襲しており、ベースの性能は同一とされていました。

前面に展望席を備えるというのは分かりやすい共通点ですが、11両の連接車であるというのは、両形式の基本が揃えられていることを意味しています。
車体の長さや、台車に若干の違いはあるものの、基本的な寸法やパンタグラフの搭載車両は共通でした。

目立つ共通点は足回りにあり、制御装置とモーターについては全く同一とされ、電動空気圧縮機も揃えられています。
補助電源装置はLSEがMGで、HiSEはSIVとされましたが、この頃は切り替えの過渡期であり、8000形は増備途中での変更となったような時期でした。

おわりに

基本設計を踏襲しつつも、様々な面でLSEからの改良が図られたHiSE。
腐食防止等が図られながらも、結果的にHiSEのほうが先に引退してしまったのは、やはり悲しい運命だったように思います。