2019年度に最初の編成が登場し、これまでに12本が増備された小田急の5000形。
2023年度は久々に増備がない1年となりますが、8000形の西武への譲渡が発表されたことから、2024年度以降に増備が再開される可能性が出てきました。

そんな5000形ですが、従来車とは内装の造りが様々な面で異なり、独自の存在感を誇ります。
過去に登場した小田急の車両とは、様々な面で異なる内装となりましたが、どのような狙いが込められているのでしょうか。

広さを感じさせる内装

3000形、4000形と垂直車体が続いた小田急ですが、5000形は8000形以来となる全幅が2,900mmの拡幅車体を採用しました。
他社では拡幅車体を新たに採用するケースがある中、逆行する状態となっていた小田急でしたが、5000形での復活は素直に喜べることでした。

拡幅車体が復活し、広々とした車内が快適に感じる5000形ですが、従来の車両とは異なる強化ガラスを多用した内装も特徴の一つです。
貫通路のドア、荷棚、袖仕切りに強化ガラスが採用されており、小田急の従来形式とはかなり印象が異なるものとなりました。

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東京メトロの車両に近いイメージとなりましたが、強化ガラスはコストアップを招くため、5000形にかける小田急の思いが伝わってくる部分でもあります。
このような内装とした背景には、車内を広々と見せたいという意図があり、拡幅車体の復活と合わせることで、相乗効果を狙っているものと思われます。

実際にどの程度の意見が寄せられたのか等は不明ですが、3000形や4000形の車内を狭いと感じる声はあり、5000形はそのような不満を解消することに重きを置いたのでしょう。

落ち着きを感じさせる車内

広さを感じさせること以外に、もう一つ5000形では内装に狙いがあります。
それは落ち着きを感じさせる車内で、暖色系の内装を本格的に採用するようになった1000形以降の流れとは、変化が生じている部分といえます。

内装の配色についても従来車にはないものとなっていますが、下から上に向かって色が薄くなっていくようになっています。
3000形で木目調のドアを採用した小田急ですが、5000形では床を木目調としており、フローリングのように感じるものとなりました。
座席は明るいオレンジ色とされ、車内のアクセントカラーになっているといえるでしょう。

比較的強めの色になっている床や座席に対して、壁やドアはシンプルなものとなっており、ホワイト系の無地とされました。
うるさくならないようにという面を感じつつも、強化ガラスの採用で生じたコストアップを、吸収する部分なのかもしれません。

落ち着きを演出する車内を眺めていると、あることに気付きました。
床がフローリング、壁面はシンプルなホワイト系といえば、一般的な住居の配色なのです。
窓枠は無塗装ですが、手すり等も含めて艶のないものとされ、そのような点からも家の中を感じさせられます。

デザインをする段階において、家の中を意識したのかは定かではありませんが、落ち着きを感じさせることに繋がっているのではないでしょうか。

おわりに

従来の車両とは大きく異なる内装となり、一般の利用者にも新型だと分かりやすい5000形。
営業運転を開始してから時間が経過し、少しずつ汚れたなと感じる部分もあり、明るい内装がどのように変化していくのかも気になるところです。