開業当時からの架線柱が現在も残り、最初から鋼製を採用したという点で先見の明があった小田急。
近年はさすがに交換されるものが出てきましたが、今も多くの古い架線柱が現役で使われています。

そんな小田急の架線柱ですが、根元の部分で曲げられているものを見かけます。
時期によってその数には差がありそうで、現代に近付くほど増えていますが、その背景には何があるのでしょうか。

根元が曲がった古い架線柱

高架化等で失われたものも多くなってきましたが、小田急では今も多くの場所で開業時からの架線柱が使われています。
設備の変化に合わせて改良された部分はあるものの、100年ほど前の設備がそのまま使われていることには驚かされます。

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近年は交換が目立っている区間ですが、少し前はこの写真のように多くの古い架線柱が現役で、不揃いなことも含めて独特な存在感を誇っていました。
これらの架線柱をよく見ると、根元の部分が折れ曲がっているものがあり、鉄板で加工されていることに気付きます。
全てがそうなっているわけではなく、カーブの内側を中心に多く見られますが、調べてみても規則性はないようです。

車両が大きくなる過程で、接触しないように広げられたのかなと思っていたのですが、1800形や2600形が登場した前後での目に見えた変化はなく、昔になるほど架線柱はどれもまっすぐ建っています。
つまり、根元が曲がった架線柱は比較的後年に生まれており、車両の大型化とは無関係ということになりそうです。

根元が曲げられる理由

1本1本を調べたわけではありませんが、時間が進むほど根元が曲がった架線柱は増加しており、言いかえれば昔はまっすぐな架線柱ばかりでした。
カーブの内側に多いという傾向はあるものの、直線部にも存在することが特徴で、カントの関係ということでもなさそうです。

何が理由なのだろうと考えていたところ、一つ思いついたのが地盤の変化への対応です。
架線柱自体は長く使えたとしても、長い年月の中で地盤は沈んだりするのでしょうから、それによって生じる狂いを直した形跡なのかもしれません。
重い車両が連日通過しているとなれば、変化が生じるのが当たり前であり、それであれば年々増えることに対しても違和感はありません。

写真を撮っていると分かりますが、古い架線柱は多少の傾きがあるのは当たり前で、個体差もかなり大きくなっています。
傾きすぎれば、車両に接触したり倒壊する恐れが出てくるでしょうから、根元の加工で調整しているのかもしれませんね。

おわりに

開業から100年が近付き、徐々に交換されるものも増えてきた小田急の架線柱。
根元が曲がっている理由は色々とあるのかもしれませんが、年々増えてきたことだけは確かなようです。