2022年度からリニューアルが開始され、1年間に3編成ほどのペースで施工が進められている小田急の3000形。
現在までに5編成が営業運転に入っており、見かける機会も増えてきました。

3000形のリニューアルにおいては、ドアを新品に交換した編成と、そうではない編成が混在していますが、なぜこのような不思議なことが起こっているのでしょうか。

一部の編成にだけ行われている新品のドアへの交換

6両の編成に対して進められている3000形のリニューアルは、8000形や1000形のケースとは異なり、ポイントを絞った内容とされています。
以前までの徹底的なリニューアルではなく、老朽化が目立つ部分に限定することで、費用の削減や工期の短縮を狙っているものと思われます。

現在までにリニューアルを終えたのは5編成で、元からの状態に起因する仕様差はありますが、概ね統一された内容で工事が行われてきました。
しかし、乗降用のドアについては編成ごとに違いがあり、新品への交換を行った編成と、そうではない編成が混在しています。

以下は施工順に並べた各編成の交換状況です。

3265F:交換
3266F:未交換
3268F:未交換
3267F:交換
3263F:未交換

結果はこのようになっており、規則性があるとはいえない状況で、かなり不思議な状態です。
費用を抑制するために、2編成目からは交換をやめたわけでもなく、3267Fからは再び交換するようにしたわけでもありません。

20230415_02

新品のドアはこのようなものになっており、外見上は取っ手が片側にしかないことが識別点です。
ガラスが接着式となっているため、車内から見た場合はより一層違いが分かりやすい状態となっています。

実際には全編成で行われているドアの交換

規則性がなく、不思議に感じる新品のドアへの交換ですが、実際には全ての編成でドアの交換が行われています。
どういうことかというと、新品のドアに交換した車両から外した古いドアが、後にリニューアルされる編成に流用されているのです。

交換理由は様々なのでしょうが、状態が悪いものがおそらく存在し、それをなくすことが目的なのだと思われます。
最初にリニューアルが行われた3265Fが新品のドアになっていることから、この時に外したドアが後の編成で活用され、足りなくなる頃に再び新品のドアを使用ということになっているのでしょう。

使えるものは使うというコスト削減策だと思いますが、これと同じことをしたと思われる事例が、小田急は過去にあります。
一部の編成にだけステンレスのドアが存在した1800形、車両によってドアの形態が異なっていた2200系列、2400形には小田原方2両だけがステンレスのドアになっていたり、4両全車が交換されていた編成がありました。
これらのケースは、おそらく3000形と同様に交換後の再利用が関係しているものと思われ、小田急では定番のやり方といえそうです。

おわりに

リニューアルが進んできたことで、一部の編成だけドアが新品となった謎が解けてきました。
歴史は繰り返すといいますが、会社の基本というのはいつまでも残るのかもしれませんね。