通勤型車両の決定版として登場しながら、僅かに72両の増備で終わってしまった小田急の2000形。
ほぼ小田原線の各駅停車用という特性から、小田急の中では地味な車両となっています。

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リニューアルについては形式として飛ばされ、小改良をしつつ活躍を続けていますが、今後はどのようになっていくのでしょうか。

迫りくる2000形のタイムリミット

1995年に営業運転を開始した2000形は、1000形をマイナーチェンジして発展させた形式で、搭載する機器を中心に従来車からの一新が図られています。
1000形のワイドドア車で広げすぎたドアの反省を活かし、幅は1.6mという中間にあたるサイズとされ、乗降のしやすさと座席数の確保を両立することを狙っていました。

増備された時期に幅はあるものの、登場からの年数は既に30年に迫りつつあり、通常であれば全編成のリニューアルが完了していてもおかしくない形式です。
車内に手を入れ、一部の機器が交換されるといった対応はされているものの、大規模な改良は現在までに行われておらず、小田急の中では老朽化が目立つ形式となってきました。

小田原線の各駅停車を中心に活躍していることから、走行距離は他の車両よりも短いと考えられますが、1000形の未更新車が消滅し、2000形よりも主要機器が新しい8000形の廃車が進められていることを踏まえれば、タイムリミットは確実に迫りつつあると考えられます。
3000形のリニューアルが既に始まっていることから、今後大規模に手を入れる可能性はかなり低くなりました。

2000形に想定される今後の展開

現在小田急で廃車が進められているのは8000形ですが、西武への譲渡が決まっていることや、残りが100両を切っている現状を踏まえれば、あと数年で廃車が完了する可能性があります。
1年に30両のペースであれば、3年ほどで全車両を置き換えられますから、まだ沢山走っているように見えても、残された時間はそう多くないといえそうです。

8000形の置き換えが終わった場合に気になるのが、次にターゲットとなる車両です。
数年後には初期の編成が車齢30年を超えてくることもあり、順当に考えれば2000形に何らかの動きが出てくるといえるでしょう。

車両に愛着があると、何らかの改造によって長生きさせる理由を模索しがちですが、搭載する機器が他形式と異なることや、ドア幅が異なるといった車体の特殊性を踏まえれば、2000形の場合はそのまま置き換えられる可能性が高いといえます。
編成短縮による延命の可能性がないとはいえませんが、6両であれば運用上今よりも走行距離が長くなる過酷な環境になりますし、4両であれば1000形を廃車したこととの整合性がとれなくなります。
それがいつなのかは分かりませんが、車齢を考えればそう遠くない未来であることだけは確かです。

2000形を廃車にする場合、置き換えとして新造する車両をどうするかというのも気になる点です。
このタイミングで8両を造ることは考えにくいため、10両によって置き換えていくものと思われますが、現状で9編成を10両に置き換えられるほど、収容できるスペースがあるのかは気になります。
伊勢原に総合車両所を建設する計画等を踏まえれば、将来的には解決する問題なのかもしれませんが、そのタイミングまで2000形を延命できるのかといえば、それもまた疑問符がつきます。

一方で、今後さらに加速する少子高齢化や、人口減少という状況を鑑みた場合、どこかのタイミングで輸送力を減らす必要も生じると考えられます。
新宿寄りの区間は無理だとしても、それ以外で6両の運行を拡大する可能性はあり、ダイヤのパターンを変える等の対応を行い、8両を6両で置き換えるようなこともないとはいえません。
いずれにしても、単純な置き換えでは済まない可能性が高く、小田急の未来を予測させるような動きになるのではないでしょうか。

おわりに

2000形という車両が登場した当時、こんなにも洗練された車両が今後は増えるんだと、わくわくしたことを思い出します。
結果は違うものとなりましたが、地味な立場で活躍する2000形を見ていると、それもまたこの車両らしさなのかもしれないと思います。