JRグループを中心としたダイヤ改正に合わせて、小田急は2024年3月16日にダイヤの修正を実施します。
相互直通運転を行っている関係で、各社が同日にダイヤ改正を行うのは恒例ですが、小田急は2年連続で小規模な修正にとどまることになりました。

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2022年に減便を行って以降、問題点がないとはいえないダイヤとなっていますが、2年連続で修正にとどまったことは何を意味しているのでしょうか。

2022年に行われたダイヤ変更

基本的には増発が続いてきた小田急の歴史上において、初の本格的な減便が2022年に行われました。
背景にはコロナ禍における利用動向の変化がありましたが、減便により保有車両数を削減することで、運行コストを減らすという目的も含まれています。
一方で、それ以前より一部区間での減便自体は行われており、将来的に想定していたことを早めて実施した面もあるかもしれません。

現在のダイヤは、複々線化が完了した2018年のものをベースにしつつ、利用率が低い列車を中心に運行区間の短縮や両数の変更が行われ、本数自体も減らされています。
6両という短い編成になってしまった急行や、乗り継ぎが悪くなってしまったケース等もあり、課題がないとはいえませんが、日常的に積み残しが発生していたり、慢性的に大規模な遅延に繋がっているといった状況ではないように思われます。

小田急全線で見た場合に、なぜそうなるのだという部分はありますが、車両の構成を大きく変えておらず、設備の問題も関係してくるため、やむを得ずそうしている面はあるといえます。
設備の改良や車両の構成を変更するとなれば、当然それに応じたコストがかかってしまうため、既存の状態でできることを実施したのでしょう。

ホームドアの設置等も関係し、昔のように6両を新宿まで入線させるといったこともできず、車両運用の面でも制限が多い時代となっており、列車種別の変更等も含めた大規模なダイヤ改正を行った場合には、掲示物の変更といったコストも発生します。
全体最適という観点で考えた場合、課題があることは分かったうえで、知恵を絞ったダイヤといえるのかもしれません。

2年連続となったダイヤ修正

世の中が平常化しつつある中、小田急は2024年もダイヤ修正で済ますことが分かり、抜本的な変更は行われません。
しかし、見方を変えればさらなる減便には踏み込んでいないため、踏ん張っているといえる面もあります。
人々の移動は活発になってきましたが、完全に元の状態に戻っていないことだけは確かであり、その時点で昔のような運行本数に戻すことは容易ではありません。

設備の改良は別問題としても、既に減らしてしまった保有車両の都合もあります。
置き換えだけではなく、保有車両数を増やさない限り大規模な増便は難しく、ダイヤ大きく変更する場合においても、両数ごとの編成数を見直すような対応が必要となりそうです。
そういった意味では、2024年度以降の車両増備がどのようになるのかが注目点で、同じ両数での単純な置き換え以外の動きがあれば、それは何かを暗示することになるといえます。

相互直通運転をしている関係で、他社との調整に時間がかかりそうなことも、現状維持に影響しているのかもしれません。
人手不足や人件費の高騰も起きつつある中で、外からは見えない様々な事情もありそうですから、コロナ禍が終わったから本数を戻しましょうというような、単純なものではないのでしょうね。

おわりに

細部には課題があるものの、致命的な問題にまでは発展していない状況の中で、現状維持という選択肢が選ばれました。
今後も続く車両の置き換えに合わせて、未来を見据えた動きがあるのか、目が離せない状況が続きそうです。