現代の駅において、当たり前に使われるようになった自動放送。
放送の内容も充実し、列車の案内や注意喚起を中心としつつ、付随する情報も盛り込まれるようになっています。

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小田急においては全ての駅で自動放送が導入されていますが、50年前の1974年時点においては、何駅で使用されていたのでしょうか。

小田急の駅で使われる自動放送

駅によって内容は異なりますが、小田急では全駅で自動放送が導入されています。
主要駅では駅員が肉声で補足することがありますが、基本的には自動放送だけで完結するようになっており、列車の運行に合わせてホーム上にあるスピーカーから音声が流れます。

新宿駅を除くと、自動放送は2種類に大別され、列車の接近と出発を案内するものと、接近のみが案内されるものがあり、駅によって使い分けられています。
以前は女性の声による放送が使われていましたが、2000年代に方向別で違う声が使われるようになり、基本的に下りが女性の声、上りが男性の声とされ、声質でどちらのホームの放送かが分かるようになりました。

細かい放送内容は変化しているものの、近年は大規模な変更が行われておらず、必要な声のパーツを付け足して対応しているとみられます。
今後ホームドアの導入が進んだ場合、それに合わせた放送内容に変化する可能性があるため、そういった面も気になるところです。

1974年時点で自動放送が導入されていた駅

駅の業務を省力化するにあたって、自動放送はなくてはならない存在となっていますが、50年前の1974年時点では、どの程度の導入状況だったのでしょうか。
自動改札といったものもなく、今以上に人手に頼って鉄道が運行されていた時代です。

まずは結果からということで、1974年に自動放送が導入されていた駅を一覧にすると、以下のとおりとなります。

・新宿(地下ホーム)
・代々木八幡
・梅ヶ丘
・豪徳寺
・千歳船橋
・祖師ヶ谷大蔵
・喜多見
・狛江
・登戸
・生田
・百合ヶ丘
・玉川学園前
・小田急相模原
・南林間
・大和
・片瀬江ノ島

1973年度末の状況であり、6月1日に多摩線が開業したことで、少し増えたようです。
設置されている駅の合計は16で、当時の駅数が61駅だったことを踏まえると、4駅に1駅ぐらいの割合だったことになります。

意外なのは主要駅の設置率が低いことですが、駅員の配置が少ないながら、利用者が多い駅に設置されていたように読み取れます。
設置駅以外では、肉声による放送を行っていたか、案内自体がなかったものと思われ、設備の変化を強く感じる結果となりました。

おわりに

現代とは異なり、途中駅での分割併合が盛んだった50年前は、案内する内容もかなり複雑でした。
そのような案内を肉声で行っていたことになり、その苦労は相当なものだったのでしょうね。