箱根登山鉄道の最新型車両として、2014年に登場したアレグラ号。
赤い車体に大きな窓を備えていることが特徴で、従来車とは様々な面で異なる車両となっています。

小田急のロマンスカー等に乗って箱根湯本まで行くと、ホームの端で発車を待つ姿を見ることができるアレグラ号は、どのような車両なのでしょうか。

車内から見える景色が圧巻のアレグラ号

現在の箱根登山鉄道で最新の車両は、3000形と3100形という形式です。
アレグラ号という愛称が設定されていますが、これは姉妹鉄道提携を結んでいるスイスのレーティッシュ鉄道にちなんだもので、ロマンシュ語の挨拶から名付けられています。

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アレグラ号の登場は2014年のことで、仮台車を履いて小田急線上を走行して運ばれており、珍しいシーンが展開されました。
形式は3000形を名乗りますが、最初に登場した両運転台の車両が3000形で、後に登場した2両編成は3100形となっています。
現在は3000形と3100形が4両ずつ在籍しており、アレグラ号だけで組む以外にも、2000形と繋いだ3両編成も見ることができます。

小田急のロマンスカーと同じく、デザインは岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当しており、箱根の豊かな自然を最大限感じ取れるよう、大きな窓が使われていることが特徴となっています。
実際に乗ってみると、迫りくる自然に圧倒されるような感覚になり、この感動は従来車にはないものです。

初採用が多いアレグラ号

1989年に登場した2000形から25年が経過し、アレグラ号は様々な面で箱根登山鉄道に変化をもたらしました。

機器の面では、箱根登山鉄道で初めてVVVFインバーター制御を採用し、補助電源装置のSIVと一体化したものが搭載されました。
2000形が抵抗制御だったことを踏まえると、一気に進化したような状態となっています。

初採用となったものは他にもあり、回生制動が導入されました。
発電制動も可能なことが特徴で、回生制動で不足する制動力を発電制動で補うようになっています。
従来車と同様に抵抗器は屋根上にありますが、冷房装置も初めて屋根上への設置となったため、印象は異なるものとなりました。

箱根登山鉄道では、小田急からの乗り入れを可能とするために、箱根湯本を境に架線電圧が異なりますが、アレグラ号では切り替えが不要となるPWM制御となっています。
パンタグラフはシングルアーム式とされ、これも箱根登山鉄道では初の採用です。

大きな窓が特徴の車体は、塗装されているため分かりにくいものの、意外にもステンレス鋼となっており、前面等の一部には普通鋼が使われています。
赤いカラーリングはロマンスカーを彷彿とさせ、従来車と同様にグループ会社でイメージの共通化が図られました。

おわりに

合計8両の勢力となり、箱根登山線内で見かける機会も多くなったアレグラ号。
車内から見える景色は格別ですので、箱根観光のついでにタイミングを合わせ、乗車体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。