2022年に行ったダイヤの変更により、小田急では夜のラッシュ時における運転本数が削減されました。
削減された本数はそこまで多くないものの、快速急行に利用者が集中しやすいという課題を抱えているためか、不思議と削減本数以上のインパクトを感じてしまいます。

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せっかくの複々線を有効利用できているのかと心配になりますが、完成する前のダイヤと比較した場合、本数や列車種別にはどの程度の差があるのでしょうか。

ダイヤ変更後の運転本数

コロナ禍を境に人々の行動は変化し、鉄道業界は大きな影響を受けることとなりました。
小田急においてもそれは例外ではなく、かなり利用状況は改善しているものの、コロナ禍以前と比較すると1割ほど利用者が減った状態で、特に定期客の落ち込みが大きくなっています。

そのような状況を受けて、2022年のダイヤ変更では運転本数の見直しが行われ、1時間あたり各駅停車を2本、東京メトロの千代田線からの直通列車を2本、合計4本が削減されました。

まずは夜のラッシュ時にどのような列車が走っているのか、18時台から19時台にかけての列車を確認してみたいと思います。
特急は含まれなくなりますが、千代田線からの列車を分かりやすくするため、代々木上原の発車時刻を基準としました。

平日の18時台と19時台において、代々木上原を発車する下り列車は以下のとおりです。

18時:準急 伊勢原
18時2分:各駅停車 本厚木
18時6分:快速急行 新松田
18時9分:準急 向ヶ丘遊園
18時9分:急行 小田原
18時12分:各駅停車 本厚木
18時16分:快速急行 藤沢
18時18分:急行 唐木田
18時20分:準急 相模大野
18時22分:各駅停車 本厚木
18時26分:快速急行 小田原
18時27分:準急 向ヶ丘遊園
18時29分:急行 小田原
18時32分:各駅停車 本厚木
18時36分:快速急行 藤沢
18時38分:急行 唐木田
18時40分:準急 成城学園前
18時42分:各駅停車 本厚木
18時46分:快速急行 新松田
18時47分:準急 向ヶ丘遊園
18時49分:急行 小田原
18時52分:各駅停車 本厚木
18時56分:快速急行 藤沢
18時58分:急行 唐木田
18時59分:準急 伊勢原
19時2分:各駅停車 本厚木
19時6分:快速急行 新松田
19時9分:急行 小田原
19時10分:準急 向ヶ丘遊園
19時12分:各駅停車 本厚木
19時16分:快速急行 藤沢
19時18分:急行 唐木田
19時20分:準急 相模大野
19時22分:各駅停車 本厚木
19時26分:快速急行 小田原
19時29分:急行 小田原
19時30分:準急 向ヶ丘遊園
19時32分:各駅停車 本厚木
19時36分:快速急行 藤沢
19時38分:急行 唐木田
19時40分:準急 成城学園前
19時42分:各駅停車 本厚木
19時46分:快速急行 新松田
19時47分:準急 向ヶ丘遊園
19時49分:急行 小田原
19時52分:各駅停車 伊勢原
19時56分:快速急行 藤沢
19時58分:急行 唐木田
19時58分:準急 本厚木

2時間の合計は49本ですが、18時発の準急は17時台の列車が割り込んでいるような状態につき、実質は48本といえるでしょう。
運転されるのは各駅停車、準急、急行、快速急行ですが、現在は全てが12本ずつとなっており、1時間あたりだと6本ずつになります。

現在のダイヤはかなりパターン化されているため、行先には多少の違いがあるものの、かなり分かりやすい状態となっています。
一方で、所要時間にそこまで極端な差はないものの、停車駅数の違いからか快速急行に利用者が集中しがちで、混雑度には差がある状況です。

複々線が完成する前の運転本数

現在の運転本数が分かったところで、今度は複々線が完成する前の状態を確認してみたいと思います。
複々線を最大限活用するようになるのは、2018年のダイヤ改正からとなっているため、2017年に行われたダイヤ修正時の状況を見ていきましょう。

2017年時点のダイヤにおける、平日の18時台と19時台に代々木上原を発車していた下り列車は、以下のとおりとなります。

18時1分:各駅停車 相模大野
18時6分:急行 小田原
18時8分:準急 本厚木
18時10分:各駅停車 本厚木
18時12分:快速急行 藤沢
18時15分:急行 相模大野
18時17分:各駅停車 本厚木
18時21分:急行 小田原
18時22分:多摩急行 唐木田
18時25分:各駅停車 本厚木
18時29分:急行 小田原
18時32分:各駅停車 伊勢原
18時37分:急行 藤沢
18時40分:各駅停車 町田
18時43分:快速急行 小田原
18時45分:急行 小田原
18時47分:各駅停車 向ヶ丘遊園
18時51分:急行 小田原
18時53分:多摩急行 唐木田
18時56分:各駅停車 本厚木
18時59分:急行 小田原
19時2分:各駅停車 相模大野
19時7分:急行 小田原
19時8分:準急 本厚木
19時10分:各駅停車 町田
19時12分:快速急行 藤沢
19時15分:急行 相模大野
19時17分:各駅停車 本厚木
19時21分:急行 小田原
19時23分:多摩急行 唐木田
19時25分:各駅停車 伊勢原
19時29分:急行 秦野
19時32分:各駅停車 本厚木
19時37分:急行 藤沢
19時40分:各駅停車 町田
19時43分:快速急行 小田原
19時45分:急行 相模大野
19時47分:各駅停車 向ヶ丘遊園
19時51分:急行 小田原
19時53分:多摩急行 唐木田
19時55分:各駅停車 本厚木
19時59分:急行 藤沢

2時間の合計は42本で、48本が走る現在よりも6本少ない状態でした。
現在のダイヤでも、複々線の完成前よりは運転本数が多いことが分かります。

違いは運転本数だけではありません。
興味深いのは列車種別の内訳が大きく異なることで、各駅停車が16本、準急が2本、急行が16本、多摩急行が4本、快速急行が4本となっていました。
ラッシュ時の主力は急行だったことになり、それを多摩急行や快速急行が補完していたことになります。

停車駅が違うので単純な比較はできませんが、快速急行の運転本数が増えたことで、結果的に利用者が集中しやすい環境ができたこと、千代田線からの直通列車が準急以下の列車種別となったこと、このあたりが混雑度の偏りを助長しているのかもしれませんね。

おわりに

Odapediaをスタートさせたのは、複々線が完成する直前の2018年1月20日のことでした。
その日から丁度6年が経ったことになりますが、当時の運行状況はほとんど覚えておらず、振り返ってみて記憶のいい加減さに気付かされました。