小田急から8000形が譲渡され、2024年度には西武国分寺線での活躍が始まります。
本線系を中心に、長編成化が進んだ小田急と西武ですが、支線部においてはやや事情が異なり、比較的本線系と一体化している小田急に対して、西武は短い路線を多く抱えている状況です。

どちらにも6両の車両が在籍していますが、その価値はやや異なっており、西武による中古車両の導入は、とても合理的といえるのかもしれません。

小田急と西武で異なる6両編成の価値

新宿を起点とする路線を持つ小田急と西武は、どちらも10両編成を最大の両数とする大手私鉄です。
かつては箱根山戦争と呼ばれる輸送シェア争いを繰り広げた両社でしたが、現在は協力して箱根を盛り上げる関係となっており、ついには車両の譲渡までが行われることとなりました。

小田急と西武は、新宿を起点とする以外にも共通点があり、観光地に向けて有料特急を走らせていることや、複数の編成を繋いで長編成にしていたりと、私鉄らしさが感じられます。
近年は8両や10両の固定編成化が進んでいることも同様で、支線に4両や6両が使われるという面においても、同様の流れとなりました。

支線の両数に共通点がある両社ですが、主力がどちらかという点は異なっており、小田急が乗り入れ先の箱根登山線ぐらいしか4両の活躍シーンがないのに対して、西武は4両が主力となる路線が多数派となっています。
一方で、6両については完全に逆の状態となっており、小田原線の町田以西や支線の主力となっている小田急に対して、西武は国分寺線が6両ばかりで走るほかは、一部を除きほぼ4両で運行されます。

このような事情からか、西武では2000系を最後に6両編成の導入を行っておらず、30000系にあった導入計画も後に中止されています。
ホームが6両分までの長さしかない国分寺線は、今後も6両が必要な状況となっており、小田急の8000形はその穴を埋める役割を担うこととなりました。
同じ6両を走らせる両社ですが、その価値は大きく異なっているといえ、6両が少数派となる西武が中古車両に目を向けるのは、とても合理的な考えだったといえそうです。

将来的にありえなくはない3000形の譲渡

小田急と異なり、6両が必要なシーンが限られる西武ですが、国分寺線は現状6両までしか営業運転を行うことができず、西武の中では制限が多い路線です。
調べていくと、ホームを延長して8両に対応させることはそこまで難しくなさそうなものの、国分寺駅に設置されたホームドアの位置や、東村山駅の高架化に合わせて他の駅でホームを延長する動きがないことから、今後も6両が走る可能性が高いように感じました。

現時点で8両化の可能性が低いと考えた理由ですが、それであれば小田急から8000形を導入する必要がなくなり、2000系を修繕して使いつつ、設備の改良を行えばよいことになります。
2年や3年の使用を前提として、わざわざ大手私鉄が中古車両を導入するとも思えないため、6両のまま運行を継続するという結論が、8000形の導入を決めた理由なのかもしれません。

8000形をどれぐらいの期間使う予定なのかは定かではないものの、気になるのは後継車両をどうするのかという点です。
現時点でこの点を考えるのは時期尚早ですが、8000形を20年や30年も使うとは考えにくく、比較的短期間になることが予想されます。

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8000形が短命になると仮定した場合に、小田急の車両が後継候補になるとしたら、やはり3000形という存在が浮かびます。
10年以上先になれば、リニューアルを行った編成が置き換え対象になってくる可能性があり、その点でもタイミングが合いそうです。
初期車や未更新の後期車については、機器の面で8000形と大差ないことから、可能性としては低いと思われますが、展開によってはこちらもありえなくないのかもしれません。

おわりに

箱根山戦争といった過去がありながら、現在は協力関係が強化されつつある小田急と西武。
もし昔から協力関係であれば、相互直通運転により観光地を盛り上げるといったような、そんな動きになったかもしれませんね。