東京メトロの千代田線を中心に据え、小田急とJR東日本を加えた3社での相互直通運転が行われています。
従来は小田急とJR東日本の車両が行き来せず、東京メトロの車両だけが3社の路線を走っていましたが、2016年のダイヤ改正以降はそのような制限がなくなりました。

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相互直通運転を行う各社は、他社の線路を走ることができる車両をそれぞれ用意していますが、各形式は同じ時期に製造されています。
今後は更新時期も重なることになりますが、その状況をどう乗り越えていくのでしょうか。

製造時期が近い各社の3形式

かつては多種多様な車両が見られた千代田線ですが、2000年代の後半から車両の整理が進められた結果、現在は各社が1形式のみを使用する状態となりました。
1編成しかないような車両が走っていた時代を知る者としては、あの頃の煩雑さを懐かしく思う時もあります。

現在相互直通運転に使われる車両は、小田急が4000形、東京メトロが16000系、JR東日本がE233系2000番台となっており、全てが10両固定編成となっています。
4000形はE233系をベースに開発されたため、小田急とJR東日本は兄弟形式のようになっていますが、細部を見ると異なる部分が意外と多いのが面白いところです。

3社での相互直通運転を見越していたのか、各形式は登場時期が近くなっており、4000形が2007年、16000系が2010年、E233系2000番台が2009年と、数年の間に各社が新形式を導入することとなりました。
増備の時期には幅があるものの、ハイペースで既存車両の置き換えが行われた結果、各社の運用車両は1形式に集約される結果となっています。

歩調を合わせる必要がありそうな車両更新

登場時期が揃っている3社の車両ですが、これは結果的に更新時期が重なることも意味しています。
都合がよいと考えられる面もあるものの、各社が歩調を合わせて取り組む必要があると考えられ、今後の展開が気になるところです。
製造時期には若干の幅がありますが、既に登場から15年程度を経過しつつあり、あと5年から10年程度が経過すると、大規模な修繕や置き換えを検討しなければいけない時期となります。

登場の段階から歩調を合わせてきたようにも感じる3社ですが、常磐緩行線で予定されているワンマン運転等、運用の変更や設備の整備においても同様の傾向があります。
ワンマン運転に向けて、車両側の準備を進めていることを踏まえると、今後しばらくは車両の置き換えを行う可能性は低く、各社はある程度の時期まで現在の車両を使い続けるものとみられます。

車両を使い続けるとした場合に気になるのは、どこかのタイミングで大規模な修繕を行うのかという点です。
小田急や東京メトロでは、近年もそれなりに手を入れる事例があるものの、JR東日本はそのような対応をしなくなっています。

各社で異なる対応とする可能性を否定はできませんが、現状を踏まえればある程度の時期に機器の更新を行うか、25年程度で新車への置き換えを始めるか、どちらかの展開となる可能性が高いように思います。
新車への置き換えとなった場合に、次回はそれぞれがどこまで自社の色を出すのかについても、今から気になるところです。

おわりに

乗り入れを行う車両が絞られ、かなり統一された状態となった3社。
かなり運用がしやすい状態とはなっているものの、どこか活用しきれていないように感じるのが、少々もったいない部分かもしれませんね。