固定編成化が進み、中間に先頭車が入る10両を見る機会が少なくなった小田急。
ロマンスカーは今後も4両と6両を繋いだスタイルが続きそうですが、通勤型車両においては将来的に消滅する可能性も浮上しつつあります。

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分割併合が日常的に行われていたため、かつての小田急では異形式が繋がった姿をよく見ましたが、逆に同一形式で組んだ10両は意外に少なく、綺麗に揃った姿が当時は印象的でした。
小田急において、同一形式だけで10両を組んだ事例はどれぐらいあるのでしょうか。

異形式の併結が当たり前だった小田急

現代では数本が見られる程度になりましたが、かつての小田急では異形式が繋がった状態は普通のことでした。
背景にあったのは、日常的に行われていた途中駅での分割併合で、2008年のダイヤ改正で大幅に削減されるまで、1日の中で併結相手が何回も変わるという運用が組まれていたのです。

このような事情があったことから、小田急では各形式が相互に併結して運転できるようになっており、極力運用上の制限がないようにされていました。
しかし、性能までは完全に合わせられていなかったため、衝動が大きい異形式の組み合わせもあり、運転士はそれに苦労したといいます。

様々な車両が繋がった面白さがあった反面、同一形式だけで組むケースはその分少なく、分割併合によってすぐにペアも変わってしまいました。
同一形式で10両を組める形式ばかりではなかったこともあり、見かけると意外に嬉しかったことを思い出します。

同一形式だけで組んだ10両の事例

日常的に行われる分割併合により、意図的には同一形式で組み合わせることができませんでしたが、結果的にそうなるパターンはありました。
古い車両から順番に振り返っていきたいと思います。

まず、中型車において見ることができたのは、2220形だけで組まれた10両で、ブツ10と呼ばれて親しまれました。
引退が近付く末期に多く見られたようで、2両が5本も繋がった珍しい姿でした。
2200形についても、物理的には10両を組むことができましたが、運用の関係で実現したことはおそらくなかったはずです。

大型車については、4000形、5000形、9000形、8000形、1000形の各形式において、4両と6両の組み合わせを見ることができました。
しかし、5000形は同一形式ながら窓の構造が異なり、1000形にもワイドドア車が存在したことから、同一形式でも綺麗に揃った姿とはならないケースがあります。
5000形については、晩年に6両を4両に短縮した編成があり、それが6両と組んだ場合には美しい姿を見ることができました。

千代田線に乗り入れていた9000形と1000形については、運用上の関係で同一形式が組んでいたため、昔は最も簡単に見ることができる組み合わせでした。
晩年の9000形は4両が8両を組んでいたため、10両になる機会がかなり少なく、9000形だけで組んだ状態は比較的珍しい姿となっています。

編成の組み替えが行われた4000形については、高性能化前は5両を2本繋いだパターンが見られ、高性能化後は4両と6両の組み合わせとなりました。
平成の初期には比較的見られましたが、箱根登山線に乗り入れる急行が増えてからは、運用上の都合であまり見られなくなっています。

おわりに

現在の小田急において、同一形式を繋いだ通勤型車両の10両は8000形のみとなりました。
千代田線に乗り入れた車両以外では、8000形が最も同一形式で10両を組んだ機会が多く、それが最初から最後まで変わらないこと自体も珍しいといえそうです。