新宿と海老名に本社機能を分割し、部署によって所在地を変えている小田急。
元々使用していた本社ビルが老朽化し、2023年に本社の移転が行われましたが、その際に小田急の中間ともいえる海老名にも本社機能を持たせ、2拠点の体制となりました。

本社が二つとなったことで、登記上の本店はどちらになるのかが気になるところですが、それは意外な場所となっており、そこにはさらに昔の旧本社ビルが今も残っています。

今も残る小田急の旧本社ビル

小田急のホームページを覗いてみると、そこには新宿本社と海老名本社の二つの住所が掲載されています。
しかし、登記上の本店と書かれた別の住所も載っており、南新宿駅のすぐ近くが示されていました。

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登記上の本店がある場所を確認すると、グレー系の色でまとめられたビルが建っていました。
少し時代を感じるこの建物は、小田急の旧本社ビルとなっており、過去に行った移転後もそのまま残されています。

現在は「小田急南新宿ビル」として、小田急ビルサービスや小田急レストランシステム等が入り、グループ会社で活用されているようです。
小田急の本社は、三菱仲3号館からこのビルに移り、その後小田急明治安田生命ビルへと移転、2023年には新宿本社と海老名本社に機能を分割させ、今日に至っています。

旧本社ビルはいつ頃建設されたのか

小田急が旧本社ビルから移転したのは、1975年8月18日のことでした。
当時の小田急がどんな時代だったのかといえば、多摩線の開業や千代田線との相互直通運転が始まるような頃で、会社としての規模はどんどん拡大していたといえます。

現在も残る旧本社ビルですが、完成は1927年12月27日のことで、あと少しで100年に到達しようとしている歴史のある建物です。
小田原線の開業が同年の4月1日であり、小田急の歴史を線路脇で見続けてきたことになります。

ビルは3階建ての鉄筋コンクリート造となっており、写真だと右側にある部分は、後に増築された部分となるようです。
当然のことながら、外壁には手が入れられていますが、昔の写真を見ると基本的な姿はあまり変わっていませんでした。
施工は清水建設(当時は清水組)で、関東大震災直後の建設だったことからか柱が太く、そんな頑丈な造りが今日まで残る結果に繋がったのかもしれませんね。

おわりに

長い歴史を持つ旧本社ビルは、曲線的な壁や特徴のある窓が印象的で、昭和初期らしいデザインといえそうです。
まもなく建設から100年を迎えますが、きちんとメンテナンスを行いつつ、これからも小田急の歴史を見守ってくれたらよいなと思います。