他の路線と比較した場合、全体的に静かだと感じることが多い小田急線。
車両が滑るように通過していく区間もあり、全国的に見てもかなり静かな路線であることは疑いようがありません。

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音も楽しむ鉄道ファンとしては、静かすぎて少し物足りないと感じることさえありますが、小田急はどのようにしてこの静かさを実現しているのでしょうか。

車両における騒音対策

他社と同じような車両が走っている小田急ですが、搭載する機器を中心に騒音対策が徹底された仕様となっています。
騒音対策を重視するようになった背景には、複々線化時にあった騒音訴訟が関係していると思われますが、各所の対策が徹底されてきたことで、元々そこまでうるさくはなかった路線ながら、昔以上に静かになりました。

車両を低騒音化する流れは、3000形が登場した頃から本格化し、床下全体をカバーで覆った試験車両の登場が象徴的なできごととなっています。
このカバーが本格採用されることはありませんでしたが、技術の進歩により全密閉式のモーターが開発されたことから、4000形以降の車両では標準仕様となっているほか、リニューアルの際にも採用されています。

モーター以外にも、全ての車両が防音車輪を採用しており、近年は低騒音型のコンプレッサーも導入されています。
昔の車両はコンプレッサーがとにかくうるさく、そのような時代を知っている身としては、本当に静かになったと感じます。

軽微なものとしては、シングルアーム式のパンタグラフも寄与しており、降雪時に備えて2000年代に交換が進められましたが、低騒音化にもよい影響を及ぼしました。
線路脇には車輪のフラットを検出する装置も設置されており、車両が騒音を発生させるようになった際に、早めに解消するための対策も強化されているようです。

車両以外でも行われている騒音対策

小田急の車両が騒音対策を徹底していることは分かりましたが、それだけではあのような静けさを実現することはできません。
車両の対策に加えて、軌道等でも騒音対策が徹底されており、それらが合わさることで静かな小田急線が成立しています。

まず、古くから進められてきたこととして、ロングレール化によるジョイント音の低減があります。
ロングレールの設置率は、敷設可能な箇所では100%となっているほか、全てのレールが50kgレール以上で、約2割は60kgレールとなっている等、振動や騒音を抑えるための対策が行われてきました。
カーブの手前には、アラジンと呼ばれるレール塗油器を設置し、車輪から発生する金属が擦れる音の低減も図られています。

高架橋を中心とする複々線区間では、防音壁や吸音パネルの採用により、騒音を外に漏らさないための工夫がされました。
軌道についても、バラストを用いることで騒音を出さない配慮がされ、複々線区間では滑るように車両が通過する状況が生まれています。

おわりに

様々な対策を合わせることで、車両の静かな走行を実現している小田急。
元々爆音の車両が走行する路線ではありませんでしたが、昔とは比較にならないぐらい静かになりましたね。