小田急のように複数の列車種別を運行する路線において、各駅に設けられる待避設備は重要な役割を担います。
各駅停車が優等列車に先を譲るほか、急行等が特急に抜かされるケースもあり、様々なパターンが見られるのも面白いところです。

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そんな小田急の待避設備ですが、やたらと多い区間と、そうではない区間がありますが、距離の場合にはどれぐらいの間隔で設けられているのでしょうか。

待避設備がある駅ごとの距離

複々線の完成により、東京都区内を中心に小田急はスムーズに走れるようになりました。
しかし、その前後にある区間を中心に、どうしても列車が詰まってしまう状況はあり、頭の痛い問題なのだろうと思います。

列車の詰まりを発生させないためには、待避設備が重要な役割を持ちますが、小田急の場合にはどれぐらいの距離ごとに設けられているのか、まずはそれを確認してみたいと思います。
以下は待避設備がある駅間の距離で、上下線のどちらかにしかない場合も含んだものです。

新宿~代々木上原:3.5km
登戸~向ヶ丘遊園:0.6km
向ヶ丘遊園~新百合ヶ丘:5.7km
新百合ヶ丘~鶴川:3.6km
鶴川~町田:5.7km
町田~相模大野:1.5km
相模大野~相武台前:4.6km
相武台前~海老名:5.6km
海老名~本厚木:2.9km
本厚木~伊勢原:6.8km
伊勢原~秦野:9.5km
秦野~新松田:10.1km
新松田~足柄:9.0km
足柄~小田原:1.7km
相模大野~大和:7.6km
大和~長後:6.4km
長後~藤沢:9.1km
藤沢~片瀬江ノ島:4.5km
新百合ヶ丘~唐木田:10.6km

結果はこのようになり、厳密には代々木上原自体に待避線はないため、ここは他の駅と少し事情が異なります。
登戸から向ヶ丘遊園にかけては、上りのみが緩行線と急行線に分かれており、鶴川と足柄は上り線にのみ待避線が設けられています。

区間によって差がある待避設備の数

待避設備がある駅間の距離を見ていくと、区間によって差があることが分かります。
列車密度や駅の数によって、必要な待避設備の間隔は異なりますが、やや物足りないと感じる区間があるのも事実でしょう。

小田原線において、待避設備が充実していると感じるのは、町田から新松田にかけての区間で、数駅ごとに待避することが可能な状況となっているため、ダイヤを組む自由度は高いといえます。
本厚木から先は列車の本数が減るため、その待避設備を活かすシーンはそこまでありませんが、前に詰まる状況は回避しやすくなっています。

待避設備の物足りなさを感じるのは、新宿から代々木上原と、向ヶ丘遊園から町田でしょうか。
前者については、代々木上原が小田急だけで4線あればかなり状況が変わりそうですが、実現はまず不可能でしょう。
後者は上り列車が新百合ヶ丘で急急接続をするようになって以降、新百合ヶ丘から先の区間での詰まりが日常となりましたが、日中も鶴川の待避線を上手く使う等の対応で、もう少し改善できないのかなと考えることがあります。

支線については、多摩線が線内に待避設備がない状況となっており、途中駅では折り返しをすることもできません。
列車密度が低いため、ダイヤ上は問題ない状況となっていますが、はるひ野あたりにそういった設備を設けていれば、運行障害の発生時等は役に立ったようには思います。

おわりに

広い用地が必要になるため、都心に近いほど待避設備を設けることは容易ではありません。
向ヶ丘遊園から町田にかけては、戦後に発展した地域も多いため、そんな事情が待避設備の少なさに表れているのかもしれませんね。