FC町田ゼルビアのJ1昇格により、スポンサーである小田急にとっても、2024年は賑やかな年になりそうです。
ホームスタジアムが小田急沿線にあるため、今後は試合開催日がさらに賑やかになることが予想され、2024年からは神奈中の連節バスが鶴川駅にも乗り入れるようになりました。

人の動きに変化があると予想される中、実質的に最も近い駅となる鶴川駅においては、急行や快速急行の臨時停車が期待されています。

「天空の城 野津田」と呼ばれる町田GIONスタジアム

東京都町田市をホームタウンとするFC町田ゼルビアは、2012年にJ2に参入したプロサッカークラブです。
元々は少年サッカーチームから始まったようで、JFLを経てJ2へ昇格し、その後降格や昇格をしつつ、2023年にJ1への昇格が決まりました。

小田急は2009年からFC町田ゼルビアとスポンサー契約をしており、2024年もトップパートナー契約を結んでいます。
選手のユニフォームには、背中の上部に小田急のロゴと「odakyu」の文字が入り、ロマンスカーを使用した臨時列車の運行等も行われてきました。

そんなFC町田ゼルビアがホームスタジアムとしているのが、東京都町田市野津田町にある「町田GIONスタジアム」です。
現在は約15,000人の収容人員を誇りますが、鉄道駅からのアクセスが悪いという課題を抱えており、試合開催日には周辺の駅から直行するシャトルバスが運行されています。

このような立地上の課題から、自家用車での来場も多いようで、試合日には周辺の道路が普段以上の渋滞を起こすようになりました。
スタジアム周辺の道路事情は、お世辞にもよいとはいえない状況であり、今後は今まで以上に公共交通機関の利用を促す必要がありそうです。

鶴川への臨時停車が期待される急行と快速急行

コロナ禍を挟んでいるため、やや判断しにくい部分はありますが、町田GIONスタジアムで試合をする際の動員数は増加しており、スタジアム自体も改修で最大収容人数を増やしています。
2024年に入って以降は、13,000人以上を動員する日もあり、帰宅困難者が続出したというようなニュースもありました。

各駅から運行されるシャトルバスは、小田急の鶴川、町田、小田急多摩センターに加え、JR東日本の淵野辺、東急の南町田グランベリーパークからとなっています。
小田急を利用する場合には、鶴川からのルートが最も近いことになりますが、周辺の道路事情は悪く、インフラが整う前にスタジアムが大きくなってしまった状況です。

20240323_02

鶴川の駅前については、再整備事業によってバスロータリーが整備され、バスの運行本数を増やしやすい状況とはなってきました。
ドライバー不足といった問題もあるとは思いますが、連節バスの運行開始も含めて、増便の土壌は少しずつ整ってきたといえそうです。

仮にバスが増便できたとした場合、鶴川に停車する列車の本数が少ないことが、次の課題として顕在化してきます。
試合後は大量の帰宅客をさばく必要がありますが、土休日は1時間に6本程度しか停車せず、それも全て各駅停車であることから、やや不足する状況となることが想定されます。

そのような事情も踏まえ、町田市側からは急行や快速急行の臨時停車を働きかけるとされ、小田急も町田市からの正式要請があれば検討すると回答していることから、実現の可能性は高くなってきているといえそうです。
スタジアムの立地上、自家用車での来場が増えるほど渋滞に拍車がかかるため、今後は公共交通機関の利用をどうやって促進するか、電車やバスをどこまで使ってもらえるかが、短期的に重要な対策になると思われます。
渋滞さえ緩和できれば、距離が近い鶴川からの輸送が効率的ではあることから、どのように集約していくかが今後の鍵なのかもしれません。

急行や快速急行の臨時停車については、上り列車を中心に比較的ダイヤに余裕を持たせてあるため、実施すること自体は可能と思われます。
パークアンドライドを促進することも有効と思われるため、J1昇格という明るい話題でもあるからこそ、関係者が一丸となって解決を図ってほしいものです。

おわりに

アクセスの悪さという課題を抱える状況に対して、抜本的に解決する切り札としては、検討が進められている多摩都市モノレールの町田への延伸があります。
こちらは先の長い話であることから、まずはできることを色々と試し、現状のインフラにおける最適解を導くことができるとよいですね。