小田原線の相模大野から分岐し、藤沢を経て終点の片瀬江ノ島に至る小田急の江ノ島線。
JR東日本の東海道線と並ぶ藤沢は、小田急線内で唯一となるスイッチバックがあり、現在も一部の列車が通して運転されています。

山を目指す小田原線に対して、江ノ島線は海を目指す路線といえますが、乗っていると大規模な橋梁がないことに気付きます。
橋梁がなさそうということは、川を渡っている場所があるのかも気になりますが、実際のところはどうなのでしょうか。

江ノ島線が川を渡る場所

相模大野を出発した江ノ島線は、途中の藤沢まであまりカーブがなく、線路は直線区間ばかりとなっています。
小田原線よりも線形がよいため、優等列車は快調に走行することが特徴で、各駅停車でさえスピードを出す区間があるほどです。

そんな江ノ島線ですが、小田原線のように大規模な橋梁がなく、川を渡っているなと感じられる場所がありません。
川といっても、実際の規模は様々であり、小田原線や多摩線では知らないうちに川を渡っている場所も多くありますが、江ノ島線の場合はどうなのでしょうか。

もしかしたら全く渡っていないのかもしれないと思いつつ、地図等を見ながら確認してみたところ、一ヶ所だけ川を渡る場所を見つけることができました。
川の存在を把握してから、カラーブックスという古い書籍において、江ノ島線を走る1800形の写真に川が写っていたことを思い出し、場所も同様のようです。

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川を渡る場所はこの写真の後方で、線路がカーブする辺りとなります。
渡っている川の名称は白旗川というようで、それほど大きな川ではありません。

見つけることができた川を渡る場所はここだけですが、実際のところはどうなのでしょうか。
暗渠と呼ばれる地下に埋めたような川は分からないため、もしかしたら他にもあるのかもしれませんが、見えるものはなさそうです。
一方で、海に向かって一直線に向かう江ノ島線だからこそ、川も同じように海に向かうわけで、渡る場所がほぼないというのは、当然といえば当然のことなのかもしれません。

白旗川はどんな川なのか

小田急が白旗川を渡っている場所を見ると、鉄橋のような構造にはなっていないようです。
しかし、古い写真では小さな鉄橋を渡っているように見えるため、昔の映像等を見て確認したところ、昭和の終わりから平成初期の段階で変化していることが分かりました。

そもそも白旗川はどんな川なのかというと、二級河川である境川の支流であり、藤沢市の亀井野に源を発します。
上流部分は暗渠となっていて姿を見せませんが、善行駅に近い場所で地上へと出てきます。
線路の下を抜けると、しばらくして境川に合流してしまうため、地上を流れる距離は長くありません。

過去の情報を調べてみると、1991年度から河川の改修工事が行われたようで、増大した雨水に耐えられるように整備されたようです。
改修前は浸水被害を出すようなこともあり、石切橋という小田急に並行する橋も要因の一つだったようです。
境川との合流部から改修工事が始まったようで、平成になって少し経った頃に、小田急の鉄橋も変わった可能性が高いものと思われます。

おわりに

海を目指して一直線に向かうという路線の特性からか、ほぼ川を渡ることがない江ノ島線。
そんな江ノ島線と交差する白旗川を調べてみると、意外にエピソードがあり面白い結果となりました。