前面デザインに小田急顔を採用した最後の車両で、2012年に引退した小田急の5000形。
現在は同じく5000形を名乗る車両にイメージが移行しつつありますが、過去に在籍したこちらをイメージする方もまだ多いのではないでしょうか。

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そんな5000形ですが、製造期間が長かったことや、後の改造で機器の交換が行われたため、編成によって搭載する補助電源装置に違いがありました。

4両編成に搭載された補助電源装置

小田急初の量産冷房車が登場した5000形ですが、初期に造られた8編成のみは、非冷房車としての登場でした。
冷房装置を搭載しないため、補助電源装置の出力は低めで、後の編成とは異なる構成とされています。
初期の編成として登場した5051Fから5058Fまでは、9kVAのMG(CLG-318C)を採用し、2台がデハ5000に搭載されました。

量産冷房車となった5059Fから5062Fまでは、140kVAのMG(CLG-350A)を採用し、後に9000形等でも採用が続くこととなります。
クハ5050にCLG-350A、クハ5150にCLG-318Cを搭載するという構成になっています。

非冷房で登場した編成については、冷房化時に補助電源装置の交換が行われますが、こちらは140kVAのMG(TDK-3761A1)を採用し、5059F以降の編成とは異なるものが搭載されています。
2600形の冷房改造車も同じものを採用しており、冷房化された編成は異なるという違いがありました。

5063F以降の編成については、5059F以降の編成と同じCLG-350AとCLG-318Cの組み合わせで登場しています。
CLG-350Aについては、7000形(LSE)でも採用されていたため、7003Fが引退する日まで使用が続いていました。

6両編成に搭載された補助電源装置

側面に下降窓が採用され、イメージが大きく変わった6両編成は、引き続きCLG-350Aを採用していました。
こちらは編成による違いはありませんが、クハ5250とクハ5550にそれぞれCLG-350Aを搭載し、4両編成とは異なる構成となっています。

6両編成については、リニューアルの際に補助電源装置の交換が行われ、140kVAのSIV(INV095-H1)に変更されています。
しかし、初期にリニューアルが行われた5251F、5254F、5255Fの3本はMGのままで、結果的に異端車となりました。

SIVへの交換まで行った6両編成ですが、短命に終わった編成が数多く存在します。
リニューアルの際に交換されたSIVは、8000形の4両編成をリニューアルする際に活用され、現在も現役で使用されています。

おわりに

電車に乗っている際、鉄道好きであっても補助電源装置が気になる方は少ないかもしれません。
MGの時代には、機器の違いによる音の差があったため、その存在を今よりも感じる機会が多かったように思います。