小田急ロマンスカーの中では最古参となりながら、現在も全編成が元気に活躍する30000形。
登場時から変わっていないEXEと、リニューアルが行われたEXEαが混在しており、運用上は特に区別せずに使用されています。

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まだ元気に活躍している中で気が早い話ではありますが、連接車ではない30000形は、比較的地方私鉄に譲渡される可能性がある車両といえます。
小田急での引退後に新たな活躍の場を得る可能性があるのか、車両の特性を踏まえて考えてみたいと思います。

小田急で最古参のロマンスカー

50000形(VSE)が引退した記憶が新しい小田急のロマンスカーですが、現在の最古参は30000形となっています。
最古参が30000形という構図はしばらく前から変わっておらず、後輩であるVSEが先に引退してしまった状態です。

現在では当たり前となった日常利用向けの車両として、30000形は1996年に営業運転を開始しました。
2024年現在においては、登場から28年を経過している状況となっており、引退してもおかしくはない車齢とはなりつつあります。

登場から時間が経過し、老朽化や陳腐化が目立ってきたことから、2016年度よりリニューアルが行われ、車体の修繕や内外装の変更、機器の交換等が行われました。
リニューアルは50両に対して行われ、愛称もEXEからEXEαに変わりましたが、20両は施工されずにEXEのままで残っており、今後もリニューアルが行われない可能性が高いとみられます。

EXEやEXEαが他社に譲渡される可能性

リニューアルによってEXEαとなった編成は別にしても、登場から30年近くが経とうとしていることから、未更新のままとなっているEXEに残された時間は長くないかもしれません。
EXEαについても、あと10年もすれば引退の可能性が浮上してくる時期であり、意外と晩年に差し掛かりつつあるともいえるでしょう。

小田急のロマンスカーについては、過去に譲渡された車両が意外と多く、3000形(SE)、10000形(HiSE)、20000形(RSE)で実績があります。
SEとHiSEは連接車で、大井川鐵道に譲渡されたSEは残念ながら長続きしませんでしたが、HiSEは長野電鉄で現役となっており、ボギー車のRSEも富士山麓電気鉄道で元気に活躍しています。

このような実績を踏まえると、30000形が廃車後に譲渡される可能性はありますが、特急型車両を求める地方私鉄はそう多くはないのが実状です。
既にロマンスカーの譲渡実績がある会社以外では、富山地方鉄道等が浮かびますが、過去の実績や現状を踏まえると難しいかもしれません。

30000形は4両か6両となっているため、これらを3両程度に短縮する必要もありそうです。
見方を変えれば、貫通型と非貫通型の先頭車があり、組み合わせられる車体のパターンが多いことから、改造により希望する仕様に合わせやすいのはメリットかもしれません。
車体も普通鋼製であり、前面部分だけを他の車両に付け替えるといったことをすれば、先頭車が制御車という問題もクリアできます。

近年は譲渡車の価格が上がっており、地方私鉄でも車両を新造する動きがありますが、特急型車両となれば新造も容易ではないとみられ、30000形の引退時は貴重な出物となる可能性もあります。
まずはEXEの引退時期が先に訪れますが、その後に訪れるEXEαはさらに貴重な出物となりそうですから、地方私鉄での再起は意外とありえそうに思いました。

おわりに

踏切事故等のリスクを踏まえれば、普通鋼製の車体は地方私鉄にとってありがたい存在といえます。
主要機器の老朽化という問題はありそうですが、まとまった数がいずれ放出される30000形が他社で再起する可能性は、思っていたよりは低くないかもしれませんね。