小田急の生田駅から向ヶ丘遊園駅方面に少し進むと、比較的小規模な踏切があります。
名称は「向ヶ丘遊園9号」で、このエリアでは珍しい歩行者専用の踏切です。

そんな向ヶ丘遊園9号踏切ですが、上り線側に階段が設けられていることが特徴となっており、しかも全体ではありません。
やや不思議にも感じられるこの階段について、過去の姿も踏まえて考えてみたいと思います。

3段だけの階段がある向ヶ丘遊園9号踏切

生田駅から新宿寄りに進み、最初の踏切となるのが向ヶ丘遊園9号踏切です。
車両通行止めの標識が設置された歩行者専用の踏切ですが、すぐ近くに生田大橋が架かっているため、車やバイクはそちらを使って下さいということなのでしょう。

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歩行者専用とはいえ、少々特徴がある面白い踏切となっており、上り線側には僅かに3段の階段が設けられています。
しかも、階段は全体の半分だけで、残りはきつめの坂で構成され、車両の進入を防止するボラードと呼ばれる杭がある状態です。

標識によって車両の進入が規制されているにもかかわらず、撮影中にはバイクが通過していき、案の定急勾配でかなりの衝撃を受けていました。
幅としては軽車両であれば通れますが、この坂が歩行者専用とされている理由なのでしょう。
人が歩く場合にもきつい角度の坂であり、階段のほうが歩行者は通りやすいといえそうです。

階段が造られた経緯を考える

不思議な階段を眺めていてふと思ったのは、これはいつから存在するのだろうということです。
新しい感じはしませんが、そこまで古びてもいないため、後から造られたものなのかもしれないと仮説を立てました。

過去に撮られた映像等を参考に調べてみると、1990年代には既に階段があるようですが、1980年代前半にはないように見えるため、この間の時期に設けられたのかもしれません。
前述のとおり、人が通る場合でもきつい坂がある踏切であり、階段を設けることで通りやすくしたものと思われます。

そこで気になるのが、半分だけをなぜ坂のまま残したのかという点です。
バリアフリー化であれば、ボラードの存在が矛盾してしまうほか、階段が設置されたと思われる時期にそこまで配慮するとは思えないため、関係ないものと思われます。
車両通行止めの標識はありますが、自転車等を手押しして歩行者として通過することはできるため、半分だけをスロープとして残したのかもしれませんね。

おわりに

時代は進み、バリアフリー化が叫ばれる時代になったことで、やや不思議な状態となった向ヶ丘遊園9号踏切。
道路や線路と平行した緩やかなスロープにすれば、車両以外は誰もが通りやすい踏切にできそうなので、改善するとよいのではと思いました。