登戸駅で南武線に乗り換え、府中本町から乗ることができる武蔵野線は、小田急沿線からだと少々距離感のある路線です。
JR東日本が東京メガループと定めている環状路線群の中で、南武線と横浜線は直接乗り換えができますが、武蔵野線と京葉線は他路線を介する必要があります。

小田急からだと少し遠い存在である武蔵野線ですが、実際には線路が意外な場所で交差しています。
乗っていても多くの人が気付かない立体交差は、小田急線内のどこにあるのでしょうか。

長い距離を走る武蔵野線

東京都府中市にある府中本町駅を起点に、埼玉県を経て千葉県の西船橋駅に至る武蔵野線は、東京都心と郊外を放射状に結ぶ多くの路線と交差し、線内は乗換駅ばかりという特徴のある路線です。
多くの列車が京葉線に乗り入れており、東京駅でも頻繁に武蔵野線の車両を見ることができます。

路線の距離は長く、府中本町から西船橋までは71.8kmもあり、小田急の小田原線が新宿から小田原までで82.5kmであることを踏まえれば、かなり長い距離を走る路線であることが分かります。
昔は列車の本数が少なく、南武線以上に目立たない印象の路線でしたが、沿線の発展に伴って利用者が増加し、現在は8両編成の電車が頻繁に走る路線へと変貌しました。

そんな武蔵野線ですが、始発駅となる府中本町駅は路線の起点ではありません。
実際の起点は鶴見駅であり、府中本町駅までは貨物線となっています。
貨物線は通称で武蔵野南線とも呼ばれており、こちらも多くの路線と交差しながら走っていますが、定期の旅客列車は設定されておらず、途中に旅客用の駅も設けられていません。

武蔵野南線と小田急が交差する場所

通常は旅客列車が走らない武蔵野南線ですが、小田急とも意外な場所で交差しています。
交差しているとはいっても、武蔵野南線の線路は地下を通っているため、地上からその姿を見ることはできず、小田急に乗っていても知らずに通過していることになります。

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小田急と武蔵野南線が交差するのは、生田駅を小田原方面に出てすぐの位置で、この写真だと手前から二つ目の架線柱がある辺りです。
生田トンネルと呼ばれる約10.3kmのトンネルが通っており、武蔵野線の中でも最長のものとなっています。

武蔵野南線は過去に旅客化の構想もなくはありませんでしたが、貨物列車を多数運行しながらの状況では困難であり、実現には至りませんでした。
もし実現していたら、生田駅で武蔵野線に乗り換えられるという、想像もできない姿になっていたのでしょうね。

おわりに

長いトンネルで小田急の下を抜けているため、その存在を意識することはほとんどない武蔵野南線。
小田急とは意外な場所で交差していますが、地上にもそれを感じる構造物はないため、地図でしか知ることができない存在といえそうです。