小田原線の新百合ヶ丘駅から分岐し、唐木田までの10.6kmを結んでいる多摩線。
小田急の中で最も新しく、最も短い路線ですが、多摩ニュータウン内に乗り入れる路線として、今日まで発展を続けてきました。

20210911_02

沿線の発展に合わせ、現在は主に6両や10両で運転される多摩線ですが、開業当時の利用者が少ない時代には、2両編成が走っていた時期もあります。
そんな多摩線が2両から4両に増強されたのは、いつのことだったのでしょうか。

2両に減車されてしまった多摩線

新百合ヶ丘から分岐する多摩線は、小田急永山までが1974年に先行して開業しました。
翌年には小田急多摩センターまで延伸して一旦は動きが止まりますが、その後1990年に唐木田駅が開業したことで、現在の状態となっています。

開業日の多摩線では、当時最新鋭の9000形を使用した開業記念列車が運行され、他には1700形や4000形が使われましたが、それ自体はその日の特別な状況でした。
翌日以降は、一部の列車を除いてABF車と呼ばれる旧型車両での運行となり、1700形、1900形、2100形の4両編成が基本となります。

4両編成で運行を開始したものの、未開発の地を走る多摩線の利用者は、小田急の想定以上に少ないものでした。
完全に空気を運ぶ列車となってしまったため、少しして2両編成への減車が行われ、当時の小田急では最小単位の編成で運行されるようになってしまいました。
減車後は1900形の2両が定番となり、開業して間もない頃の多摩線の写真では、おなじみの車両となっています。

利用者の増加に伴う多摩線の4両化

2両編成となってしまった多摩線でしたが、使用する車両については少し変化がありました。
1900形が4000形に機器を譲って廃車となったことから、それ以降は2200形での運行が基本となり、両数自体は2両のままながら、車両自体は少し若返ったことになります。

利用者の少なさに悩まされた多摩線でしたが、多摩ニュータウンや沿線の人口は徐々に増加し、やがて2両から4両に増車される日を迎えました。
増車というよりは、開業当時の両数に戻されたという表現のほうが適切かもしれません。
多摩線が4両化されたのは1979年のことで、ダイヤ改正以降は2両編成が見られなくなりました。

4両編成に増車された多摩線でしたが、車両自体は基本的に古いままの状態が続き、2200系列や2400形といった非冷房の中型車での運行が続きます。
しかし、それらの車両にも引退の日は訪れ、最終的には5000形や8000形といった大型車の4両編成に切り替えられましたが、数年で6両化が行われたため、そのような時期はかなり短期間で終わりました。
その後は6両を基本にした運行としつつ、優等列車や運用の都合に合わせて8両や10両の編成が走り、開業時からは想像もできない路線へと変化しています。

おわりに

4両から2両に減車され、後に4両での運行に戻された小田急の多摩線。
近年は輸送力の適正化が進められましたが、今後はどのような運行スタイルとなっていくのか、未来の動きも気になるところですね。