2024年度の鉄道事業設備投資計画が発表され、今後の動きが色々と明らかになった小田急。
設備投資額も近年にしては大きく、アフターコロナになったことを実感する内容となりました。

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安全対策の強化とサービスの向上に重点が置かれていますが、開業から100年の節目が近付きつつある中、古くなった施設をどう維持していくのかについては、今後の課題となりそうです。

重要視されている安全対策

小田急から2024年度の鉄道事業設備投資計画が発表され、その総額は413億円に達していました。
2023年度は261億円で、総額はかなり増加したことになりますが、400億円を超えるのは2007年度以来のことで、コロナ禍前と比較しても大きなものとなっています。



前提として、2023年3月18日に運賃の値上げが行われ、鉄道駅バリアフリー料金制度の活用が始まりました。
2023年度は47億円の影響があったとのことなので、その分が設備投資額にも反映されていると思われますが、除いたとしても大きな総額となっています。

重点が置かれている二つのうち、安全対策については主なものとして三つあげられています。
ホームドアの整備、鉄道施設の耐震補強等、車内防犯カメラの設置等となっていますが、安全の持つ意味は若干違うといえそうです。

ホームドアと車内防犯カメラについては、利用者の日常的な安全性を向上するものですが、耐震補強はいざという時への備えであり、対策が急がれているものと思われます。
耐震補強ですから、地震への備えということになりますが、利用者の安全ということだけではなく、施設の損壊によって運行ができない状態に陥ればその影響は大きく、そういった面でも対策の重要度は高いということになるのでしょう。

今も多く残る開業時からの建造物

耐震補強については、跨線橋や高架橋、上屋等があげられており、酒匂川橋梁の塗装等も行われます。
この中には小田急が開業した当時から使われているものもあり、建造から100年近く経っていることを踏まえれば、メンテナンスは必須といえるでしょう。

開業時からのものといえば、大規模な施設だけではありません。
架線柱や建物等にも開業時からのものが残っているため、これらも順次更新が進められており、タイミングをずらしながら対応しているようです。
小田原線と江ノ島線は、同時期に全線が一気に開業していることから、設備等の老朽化も同時進行することになり、小田急にとっては苦しいところでしょう。

現代の鉄道は駅を中心に設備が充実し、昔に比べて利用しやすくなりました。
開業時からの施設や設備だけではなく、エスカレーターやエレベーター等のように、相対的に見れば新しいものでも、定期的に交換が必要なものも多くあることから、それらを社会としてどう維持していくべきなのか、考えていかなければいけない時期なのかもしれません。

おわりに

設備投資の総額が増加し、施設面でも様々な変化が予想される小田急。
サービスの向上というプラス面だけではなく、老朽化というマイナス面にも多く向き合わなければならず、今後は後者への投資もより活発になっていきそうです。