廃車が進行しつつも、西武で引き続き活躍することが決まり、最近は話題が豊富な小田急8000形。
西武に譲渡されるのは6両の編成となっており、今後はどの編成が選ばれるのかについても注目が集まりそうです。

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一方で、相方となる4両編成については譲渡の対象外であり、今後も廃車が進められると推定されます。
リニューアルの時期が遅く、もったいないと感じる部分もある4両ですが、他社で再起する可能性はないのでしょうか。

使い道がなくなってしまう8000形の4両

1982年度から製造が開始された8000形は、2002年度から2013年度にかけて大規模なリニューアルが行われました。
リニューアルは6両の編成に先行して行われ、途中から4両が混ざるようにはなったものの、先に6両の全編成が更新を完了し、後半は4両ばかりという状況になっています。
つまり、4両のほうがリニューアルからの年数が経過していないことになります。

西武への譲渡が決まっているため、6両については今後も間違いなく廃車が進められるでしょう。
4両についても、確実なことはいえませんが、おそらく道連れで廃車となる可能性が高いとみられます。

仮に4両だけを残すとなった場合には、4両としての活用方法が必要となりますが、数編成であればともかく、現状はまとまった編成数が必要な運用を生み出すのは難しい状況です。
3000形と組んだ10両での使用は可能ですが、そうすると6両の編成が足りなくなってしまうため、これもいずれは難しくなります。
8000形の4両同士で8両を組めるようにする改造を行う手はありますが、そこまでして残す必要もないため、やはり小田急からは姿を消すというのが、現時点で最も可能性が高いといえるでしょう。

8000形の4両が他社で再起する可能性

製造からの年数は経過しているものの、徹底的なリニューアルが行われていることもあり、8000形の状態は同世代の車両と比較した場合、高い水準に保たれているといえます。
それが西武への譲渡においても決め手となったわけですが、4両を活かせる鉄道会社があるのかというと、そう簡単ではなさそうです。

中古車両を購入するケースが多い地方私鉄では、4両という編成の長さが過剰となります。
20m級車両の3両編成を走らせる路線はあるものの、大半は2両以下というのが実際のところであり、8000形を改良する場合には、先頭車化改造や機器の移設が必要となってしまうため、この時点でハードルが上がってしまうのです。
長い編成を走らせる伊豆急行についても、海沿いを走ることを踏まえれば、普通鋼製車体に戻すとは考えにくいでしょう。

8000形の6両は、大手私鉄同士の車両譲渡という極めて珍しい事例となりました。
それだけ6両という編成の長さ、車両の状態等の条件がマッチしたわけですが、4両が他の大手私鉄にも譲渡される可能性があるのかといえば、かなり厳しいと考えられます。
既に編成数が残り9本となっていることや、大手私鉄同士というのはそもそもがレアケースであり、8000形の4両が譲渡される可能性はかなり低いといえそうです。

おわりに

リニューアルの時期が遅かった8000形の4両ですが、それを活用できる鉄道会社はなかなかなさそうです。
しかし、現実問題として、8000形より状態が悪い車両を走らせている会社は沢山あり、資源価格の高騰等で車両の入れ替えサイクルも長くなりそうですから、今までの常識では考えられないことも今後は起こるかもしれませんね。