小田急から20000形(RSE)を譲り受け、8000系として運行している富士山麓電気鉄道。
ダブルデッカー車を抜いた3両に短縮され、フジサン特急として元気に活躍を続けています。

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そんな元RSEの8000系ですが、譲渡にあたっては編成短縮以外にも様々な面で手が入れられました。
8000系としての再起を実現するためには、どのような改造が行われたのでしょうか。

フジサン特急になった元RSE

2002年からフジサン特急として運行されていた2000形(元JR東日本165系)は、長年の活躍により老朽化が進んでいました。
そこで、小田急での運行を終えたRSEが譲渡されることになり、形式を改めて2014年に導入されたのが8000系です。

2000形の置き換え用であることから、8000系についてもフジサン特急とされており、車体には数多くのキャラクターが描かれています。
導入にあたっては、予めキャラクター総選挙が行われ、最終的に選ばれた58山が車体に描かれました。

車両の改造は日本車輌製造で行われ、デハ20002がクモロ8001、サハ20052がサロ8101、デハ20302がクモロ8051となっています。
竣功日は2014年4月12日で、運用開始前は真っ白な車体で試運転等を行い、同年の7月12日より運行を開始しました。

バリアフリー化を中心とした改造

富士急行線で使用するにあたり、小田急時代の姿はある程度残しつつ、8000系には様々な改造が行われています。
分かりやすい部分では、7両を3両に短縮した点があげられ、解体された4両の部品は改造時に一部が流用されたほか、予備品としても確保されました。

RSEの特徴といえば、ハイデッカーやダブルデッカーという設備でしたが、皮肉にもそれがバリアフリー化の難しさに繋がってしまいます。
8000系として再起させるにあたっては、この問題をクリアする必要があり、改造もバリアフリー化が中心となりました。

バリアフリー化は中間車である2号車に対して行われ、車体の1/3にあたる床面を400mm下げ、車いすに対応したスペースを設けました。
トイレも含めて空間はフラットになり、元々は折り戸だった側扉は引き戸に変更され、車いすスペースの窓が下方に拡大されたことから、外見上にも変化が生まれています。
また、床面を下げたことから、冷房装置が床下に搭載できなくなったため、ダブルデッカー車から流用したものが屋根上に搭載されました。

先頭車については比較的原形を保っていますが、1号車はダブルデッカー車から流用した座席を用いて、3列シートに変更されました。
最前部は追加料金が必要な展望席となっており、ソファーを配置したサロン席とされています。

その他にも、富士急行線を走行するための機器の追加や、寒冷地走行への対策が行われました。
機器の二重化も行われており、信頼性の向上が図られています。

おわりに

小田急からは早期に引退しつつも、富士急行線で元気に活躍を続ける元RSE。
ロマンスカーミュージアムに保存されつつ、現役の編成も存在するのが面白く、残存率が高い車両となっています。