補修や改築により、時期によって少しずつ姿を変えていく小田急の駅。
大規模な改良工事で姿を一新した駅もあれば、昔の面影を残しながら使われている駅もあり、現状は様々な状態となっています。

そんな小田急の駅ですが、かつては跨線橋に駅名が書かれた板が掲出されている駅があり、なかなかの存在感を誇っていました。
いつの間にか数を減らしてきましたが、掲出されていた理由がよく分からず、少し考えてみることにしました。

一部の駅にだけ掲げられていた駅名板の謎

小田急の線路上にある跨線橋や橋上駅舎には、駅名が書かれた板が掲げられている駅がありました。
過去形で書いてしまいましたが、実際どれぐらいの駅にあるのかは調べられていないものの、現代においても残っていることは確認しており、東林間駅や桜ヶ丘駅で見ることができます。

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位置としては線路の真上にあたり、一文字ずつ独立した板になっているのが基本スタイルです。
字体や大きさは様々で、末尾に「駅」と入る場合と、駅名だけのパターンがあります。

この駅名板はやや不思議な存在で、どの駅にも設置されているものではなく、どちらかといえば珍しい存在でした。
昭和の終わり頃には比較的見られましたが、年々数を減らしてきた状況であり、現在はほぼ残っていないものと思われます。

映像等を参考にして、掲出事例を確認できた駅は以下のとおりです。

・参宮橋
・喜多見
・座間
・鶴巻温泉
・大秦野(現在の秦野)
・渋沢
・新松田
・富水
・螢田
・東林間
・桜ヶ丘

起点側と終点側の両方にある場合と、片側にしかない場合があり、特に統一はされていないようです。
確認できた駅からも分かるとおり、共通点らしい部分はありませんが、小田原線の本厚木以西に多いという傾向になっています。

駅名板が掲出された理由を考える

映像の確認ができる時期が限られるため、他にも掲出されていた駅がある可能性は否定できないものの、共通点が見出せないのがこの駅名板の気になるところです。
補修等のタイミングで撤去され、確実に数を減らしていることは間違いないものの、現代においてもまだ残っている点も謎であり、いったいどういった理由で設置されたものなのでしょうか。

とても単純な解釈をすれば、上屋の位置等の関係で見にくい場合や、構造上取り付けにくい場合は設置しなかったのかもと思いましたが、必ずしも見やすいとはいえない駅があり、この可能性は低そうです。
建設時期が近いといった仮説も立ててみましたが、昭和の後半に建てられた傾向はありそうなものの、特定の時期には集中していないように思います。

そうなると、乗務員が何かを確認するためなのではないかとなるわけですが、誤通過の防止であれば見えてからでは遅く、車掌の後方確認時だとした場合でも、何の必要があるのかは思いつきません。
どの駅かを認識しやすくするためかと思えば、特徴がない駅ばかりではないですし、そもそも全駅に設けない理由がなくなります。
結局のところ、よく分からないというのが結論だったのですが、何を基準に設置されたものなのか、今に至るまで謎の存在です。

おわりに

数を減らしつつも、一部の駅にはいまだに残っている謎の駅名板。
風前の灯といったところではありますが、いつまで見ることができるのでしょうか。