通勤客等の利用を強く意識し、従来の車両とは大きくスタイルを変化させ、新時代のロマンスカーとして登場した小田急の30000形。
4両と6両が7編成ずつの全70両が製造され、現在も全ての車両が現役です。

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2016年度からはリニューアルが開始され、これまでに50両がEXEからEXEαへと姿を変えましたが、残る20両については数年経っても動きがなく、未更新のまま活躍を続けています。
そんな中、小田急から開示された移動等円滑化取組計画書において、30000形のリニューアルを想起させる気になる記述がありました。

移動等円滑化取組計画書の気になる記述

登場から約20年が経過した2016年度より、30000形のリニューアルが始まりました。
リニューアルは4両と6両をセットにして行われ、現在までに50両がEXEからEXEαに改造されています。

組成時と同様に、リニューアルも番号の末尾を揃えたペアで進められ、実質的には10両の1編成として進められました。
EXEαとなったのは、第1、第2、第3、第4、第6の各編成で、第5、第7編成についてはEXEのままで活躍を続けています。

50両のリニューアルが終わって以降、残る20両については大きな動きがなく、更新が中止されたと思われる状態となりました。
簡易的な修繕は行われているように見えますが、使える時期まではそのまま走らせ、先行して新車に置き換える可能性が高いようにみられていました。

もうリニューアルはないのだろうと思っていたところ、2024年6月28日に小田急から開示された移動等円滑化取組計画書の中で、気になる記述が見つかります。
全26編成のロマンスカーにおいて、車いすに対応したトイレは24編成に設置されており、残りの2編成にはリニューアル等の大規模な改修時に設置を計画するとされているのです。

26編成というのは、50000形(VSE)を含んでいるため、まだ車籍があるというのが分かってしまいましたが、気になるのはトイレが車いすに対応していないという2編成です。
これはEXEの4両を指しているとみられるため、今後のリニューアルを否定できない記述に見えなくもありません。

残る20両はリニューアルされるのか

文面をそのまま読むと、30000形のリニューアルが再開されるとも読めてしまいますが、そう簡単ではありません。
なぜかといえば、「など」という表現で断定を避けており、あえて曖昧にしていると思われるためです。
さらに、最初の編成が登場してからもうすぐ30年を迎えようとしている中、ここからリニューアルを再開するというのは、あまり合理的には思えません。

問題はもう一つあり、VSEが引退して以降は編成数に余裕がなく、長期間に渡って10両ものロマンスカーを運用から外し、リニューアルをするのは難しいと考えられます。
予備車が少なく、何かあった際に運休が発生する可能性が高まるため、新車を増備してからでなければ、リニューアルの実施は難しそうです。

これらの前提を踏まえると、方向性は三つほどに絞られるかと思いました。

①実際は新車の増備時に置き換えるが、そうは書けないために濁した。
②新車を増備した際にリニューアルの再開を予定している。
③そもそも明確な意思はなく、未対応の編成に対する方針として、それらしいことを書いた。

さて、どのような意味合いが隠されているのか、気になるところです。

おわりに

20両が未更新のままで残り、それはそれで悪くない状態ともいえる30000形。
なかなか決定的な動きはありませんが、数年後にどのような展開となっているのでしょうか。