小田原から強羅までを結び、現在は箱根湯本から先の区間で専用車両が使われる箱根登山線。
製造から100年前後が経過している車両のイメージが色濃く残りますが、近年は置き換えが進められ、かなり近代化が進んだ状態となりつつあります。

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夏の暑さは酷くなる一方ですが、旧型車両で残る3両には冷房が搭載されておらず、今の日本においては貴重な存在となりつつあります。

3両だけが残る非冷房の旧型車両

かつては箱根登山線の顔でもあった旧型車両は、モハ1形の104号と106号、モハ2形の108号の3両のみとなっています。
総称して100形とも呼ばれることからも分かるとおり、外見上はそれほど大きな違いがなく、目立つのは扉間にある窓数の違いぐらいでしょうか。

これらの3両は基本的にセットで使われる状態となっており、2両編成となっているモハ1形に対して、モハ2形を繋いで運用されます。
モハ1形のみで運用される場合もあり、その場合はモハ2形がお休みとなります。

製造から100年前後が経過する3両ですが、車体や足回りは過去に更新を経ているため、登場時の部品はそこまで残っていないかもしれません。
レトロな車両として人気ではあるものの、既に時代に合った車両ではなくなってきており、冷房が搭載されていないという点や、出入口に段差があるという課題も抱えています。

非冷房である点については、駅で次に到着する電車には冷房がないことが案内される等、気を使っている面もあるようです。
一方で、あまりにも暑い夏となっている現代においても、窓から入る風を浴びながら走るのもよいもので、令和という時代においては貴重な存在ともいえます。

安心できない旧型車両の今後

以前は沢山走っていた100形ですが、近年は3000形や3100形の導入によって廃車が進み、気付けば3両という少数世帯になってしまいました。
さらに、2018年の時点で数年以内にモハ1形とモハ2形は全て引退予定とされていたことから、既に安心できる状況ではないといえます。

箱根登山線は、2019年の台風で多大な被害を受け、箱根湯本から強羅間においては、1年近くも不通となっていました。
全線の運行再開前にはコロナ禍へと突入し、収益の面でも大きな影響を受けたといえます。
そのような背景があり、旧型車両が残る結果となっているのかもしれませんが、バリアフリー化の観点で問題があるため、予断を許さない状況であることは間違いありません。

2021年にモハ2形の109号が廃車になって以降は、3両が活躍する状態に変化はありませんが、引退時は全車が一気に廃車になるものとみられます。
現在のところは部品がある限り走らせられるとされていますが、いつ引退しても後悔しないよう、乗車や撮影は落ち着いている今のうちにというところでしょうか。

おわりに

3両だけが残る状態となりながらも、新しい車両に混ざって活躍を続けるモハ1形とモハ2形。
車齢の差が90年以上もあるような車両が混在するのは、よく考えると凄いことなのかもしれませんね。