従来の車両とは異なり、数々の最新技術を採用して世間を驚かせた東京メトロの6000系。
左右非対称の前面スタイルは、その後に登場する車両にも大きな影響を与えました。

千代田線で使われた6000系は、他社との相互直通運転にも長く充当され、小田急線内でもおなじみの存在でした。
長年に渡って全編成が揃って活躍してきましたが、廃車の開始により数を減らす中で、晩年の小田急との関わりはどうなっていったのでしょうか。

2010年から廃車が開始された6000系

1968年に試作車が登場し、1971年から営業運転に投入された6000系は、最終的に353両の大所帯となりました。
一時期は千代田線用の車両が全て6000系だった時期もあり、平成に入って06系が1編成だけ加わりつつも、圧倒的な多数派として長く君臨し続けることとなります。

6000系は2018年に運用から外れましたが、営業運転の開始から50年に迫るほどの活躍をし、小田急線にも長く乗り入れを行いました。
小田急への乗り入れは1978年から始まり、9000形、1000形、4000形と小田急の車両は交代しますが、6000系は交代せずに活躍を続けることとなります。

長きに渡って全編成が現役を続けた6000系は、2010年から廃車が開始されました。
当時の相互直通運転は多摩急行の全盛期で、ラッシュ時等に急行に充当される機会はあるものの、基本的には多摩線内を起終点とする運用で使われ、小田原線の新百合ヶ丘以西には入線しない状態でした。
準急の運用は小田急の車両に限られていたため、代走等を除いて充当されることは基本的になく、活躍の場自体は限定されていました。

6000系の廃車は16000系の登場で始まり、チョッパ制御車が次々に引退しますが、置き換えが始まると早いもので、2012年までにほぼ半減という状態に至ります。
ここで一旦廃車はストップし、しばらくは6000系と16000系が共存する状態となりました。

晩年に広がった活躍の場

編成数を大きく減らしつつも、安定した状態になっていた6000系でしたが、16000系の追加増備により2015年から廃車が再開されます。
廃車の対象はVVVFインバーター制御化された編成で、いよいよ6000系にとっての最終章がスタートしました。

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いよいよ先が見えてきた6000系でしたが、意外にも2016年からは小田急線内における活躍の幅が広がります。
2016年のダイヤ改正以降、小田急では日中を中心に運行パターンが大きく変わり、急行で活躍するシーンが増加しました。

興味深い変化としては、ラッシュ時に準急に充当される運用が生まれ、日常的に小田原線の新百合ヶ丘以西にも入線するようになります。
日によっては、新百合ヶ丘駅において、1番ホームと2番ホームで6000系が並ぶこともあり、なんとも珍しいシーンが展開されました。

活躍の場は広がりつつも、残念ながら6000系の廃車はどんどん進んでいったため、このようなシーンは長く続きませんでした。
小田急線内でデジタル無線の使用が開始されたことに伴い、2017年の5月に乗り入れ運用からは外れ、6000系はひっそりと姿を消しました。

おわりに

長く小田急線内に乗り入れ、おなじみの存在でもあった6000系。
16000系がその役割を引き継ぎましたが、同一形式でバリエーションが豊富だった6000系に比べると、かなり整理されたと感じますね。