多くの列車が行き交う都市圏の鉄道では、様々な面で自動化が行われており、日々進歩を続けています。
小田急においてもそれは例外ではありませんが、昔になればなるほど人手に頼っていた時代があり、今日までシステム等の導入が進められてきました。

20180825_07

様々なシステムが使われている中で、小田急が使用する列車運行を管理するシステムはOTCと呼ばれます。
OTCはいつ導入され、それによりどんな変化があったのでしょうか。

1987年に導入されたOTC

現在の運輸司令所にあたる運転整理指令所が誕生したのは、戦争が終わって数年が経過した1949年のことでした。
後に運転司令所、運輸司令所と名を変えてきましたが、列車の運行を管理する組織として重要な役割を担っています。

運転整理指令所が業務を開始した当時は、車両に列車無線すら搭載されていませんでした。
ポイント等の切り替えは駅にある信号所で行われていたため、運行状況は各駅から集める必要がありますが、それらの情報収集は電話で行われていました。

列車無線の導入により、司令所と列車は直接会話することができるようになりましたが、それでも現代に比べれば情報は限られていたことでしょう。
情報収集や指示を電話と無線だけで行うとなれば、全線で多くの人手が必要になりますが、コミュニケーションを駆使して鉄道の運行を支えていました。

このような状況に変化を生んだのが、1987年に新運転司令所が相模大野にできた際のことで、OTC(小田急型列車運行管理システム)の導入により列車の運行は自動制御されることとなります。
導入時点では江ノ島線のみで使われますが、1990年までに全線へと拡大し、今日まで更新等を行いつつ運用されてきました。

OTCの導入による変化

小田急で使用されるOTCは、広義には列車運行管理システムと呼ばれます。
大きな盤に全線の配線や信号の状況等が表示され、列車がどこを走っているのかもすぐに分かるものですが、その前に司令員が座っているのが印象的な光景です。
昔は盤にランプ等で表示するものでしたが、現在は液晶画面を使用したものに変わっているようで、このような分野も進化を続けているのだと実感しました。

OTCの役割は色々とありますが、リアルタイムで情報を表示するだけではなく、制御や管理も行われています。
信号やポイントはOTCによって制御され、各列車は安定した運行をすることができるのです。

秒刻みで列車を運行する小田急ですが、通常時は問題なく走れる各列車も、何らかの理由でダイヤが乱れてしまうとそうはいきません。
遅れの発生や、トラブルで動かせない列車があっても、OTCの導入後は遠隔で運転整理をすることが可能となりました。
そうはいっても、輸送障害時における小田急の対応は遠隔だけではなく、信号の制御を駅で対応するようになるため、連携して回復を目指す体制となっているようです。

おわりに

OTCの導入により列車の運行は自動制御されるようになり、小田急の運行管理は大きく変化しました。
システムはその後も発展を続け、列車の運行状況をリアルタイムで利用者が知ることも可能になり、なんとも便利な時代となったものです。