現在は最大で10両編成の列車が走るようになり、沿線が空き地ばかりだった開業時とは大きく変化した小田急の多摩線。
近年は利用実態に合わせた減便が行われていますが、小田原線と直通運転を行う列車も運行され、利用しやすい状況は保たれています。

そんな多摩線ですが、利用者が少なかった時期には2両で運行されていました。
新しい路線ながら、当初は1900形という古い車両が使われ、後に2200形へと変更されていきますが、切り替えられたのはいつだったのでしょうか。

2両の短い編成で運行された多摩線

1974年6月1日に開業した多摩線では、一部の列車を除き4両編成が使用されました。
当時の小田急には4両の車両が沢山在籍していましたが、使用されるのは専らABF車と呼ばれた古い車両ばかりで、1900形、1700形、2100形の各形式が該当します。

多摩ニュータウンへのアクセス路線として開業した多摩線でしたが、利用者はお世辞にも多いとはいえない状況で、1974年10月に運用の変更が行われ、車両は1900形の2両へと変更されました。
11月には1700形が廃車されていることから、置き換えもにらんでの運用変更だったと思われますが、2両で足りていたというのも今となっては驚きです。

こうして開業から4ヶ月で2両化されてしまった多摩線ですが、ここからは比較的安定した時期に入ります。
1900形の2両は、1911Fから1914Fまでの4編成が該当し、最後の活躍をする場を得ることとなりました。

1900形から2200形に変わった時期

1900形の2両での運行となった多摩線ですが、ABF車と呼ばれるグループの廃車は着実に進められていました。
4000形を5両化するために、廃車となったABF車のモーターを流用していたことから、1900形の2両も最終的には廃車される運命となります。

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写真提供:まにまに会長様

1900形と交代して多摩線を走るようになったのは、2200形の2両でした。
2枚窓車と呼ばれる車両が使われましたが、非貫通で編成間に入れないほうが都合がよかったため、白羽の矢が立ったのかもしれません。

1900形の2両が廃車された日付は、1976年9月30日となっており、その時期に2200形との交代が発生しているものと思われます。
当時撮影された写真を見ていくと、7月の後半には1900形が使われているようですが、8月の前半には2200形へと変わっていることから、この時期に交代したということなのでしょう。
2200形は2201Fから2209Fまでの5本が使われていたようで、両側の先頭車に列車無線を設置しつつ、電気連結器がない状態となったのは、この名残ともいえそうです。



晩年は多摩線での走行が多かった2200形の2枚窓車ですが、4両化後に多摩線を走っていた2211Fが残っており、富士急行を経て民間企業の敷地内で保存されてきました。
しかし、現在は解体の危機にある状況で、救い出して保存を継続するためのクラウドファンディングが行われています。
支援総額は600万円を突破していますが、2両を残すにはまだまだ足りない状況のようですので、ご興味がある方は是非ご支援をお願いできますと幸いです。

おわりに

多摩線の沿線がある程度発展するまで、小田急は2両での運行を行うことで需給を合わせていました。
1900形から2200形への変更で車両の近代化は図られましたが、冷房が付いた車両が日常的に走るようになるのは、まだまだ先のこととなります。