相模大野から片瀬江ノ島までを結び、2024年度には中央林間と大和の両駅にホームドアの設置が予定されている江ノ島線。
現在も線内を走る各駅停車は6両ですが、10両の快速急行が小田原線と直通運転を行っており、昔に比べればかなり便利になっています。

そんな江ノ島線内において、2024年7月の後半から8両編成を用いた試運転が行われていました。
小田急では珍しくない8両編成ですが、江ノ島線内では定期運用がなく、試運転の背景が注目されています。

連日に渡って行われた8両の試運転

一部の駅にホームドアの設置が予定される江ノ島線では、同時にTASCの整備も進められています。
少し前から、江ノ島線内のTASCも8両に対応することが推定されていましたが、どうやらそれは間違いないものとなりそうです。

2024年7月22日のことですが、通常は江ノ島線内を走行することがない2000形が試運転表示を出し、相模大野から片瀬江ノ島までを走りました。
登場から現在まで、2000形が江ノ島線内を走行したことは数えるほどしかなく、貴重な機会となったようです。

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試運転は2000形だけでは終わらず、7月29日の週には3000形、8月5日の週には1000形を2本繋いだ編成でも行われ、現在の小田急で見られる全てのパターンの8両が走行したことになります。
各形式で試運転を行ったことからも分かるとおり、目的はTASCに関するものだったようで、やはり江ノ島線内も8両に対応させるようです。

8両の試運転が意味すること

試運転で8両編成が走行したことで、江ノ島線内のTASCが8両にも対応することはほぼ確定的となりましたが、これは何を意味しているのでしょうか。
確実にいえることは、今後設置されるホームドアについても、8両に対応したものになるということであり、なかなか気になる展開といえます。

まず、定期運用が設定されるかどうかは別として、ホームドアの設置後に8両が入線禁止となる可能性がなくなりました。
ダイヤが大きく乱れたり、極端な車両不足が発生した際には、8両が10両の運用を代走するケースがありますが、今後もイレギュラーな入線が発生する可能性が残ったことになります。

気になるのは、滅多にない機会のために、わざわざTASCの整備をするのかということですが、この点についてはいまいちよく分かりません。
ホームドアさえ8両の停車に対応していれば、最悪人の手で停車させればよいわけで、イレギュラーな入線を想定してのものとした場合、やや過大整備にも思えます。

そこで気になるのは、定期運用として8両が入線する可能性ですが、藤沢駅での系統分離が行われたことで、ありえないともいえない面があります。
なぜならば、藤沢から片瀬江ノ島までの区間を分けて考えられるようになったため、藤沢まで8両を入線させるという選択肢が選びやすくなったためです。



以前の記事において、江ノ島線内の全駅を10両に対応させられるかを考えたことがありますが、藤沢までを8両の停車に対応させるとした場合には、実現のハードルが下がることを意味します。
江ノ島線内の各駅停車は慢性的に混んでおり、6両では若干輸送力が不足していることから、8両化の可能性を完全に否定することはできないといえそうです。

おわりに

8両化が実現する可能性は低いと思われますが、高座渋谷駅も8両であればホームの延長ができそうであり、その気になればできそうというあたりが、色々と考えてしまうことに繋がります。
藤沢駅の改良工事も始まっており、こちらもホームを延長する可能性が否定できないことから、点と点が繋がりつつあるように思うのは私だけでしょうか。