小田急の起点である新宿駅の次にありながら、利用者がとても少ない南新宿駅。
各駅停車の10両化に伴い、現在は対応した長いホームを備えていますが、落ち着いた静かな雰囲気の駅となっています。

そんな南新宿駅ですが、昔はホームの長さが短く、一部の列車はドアカットをして対応していました。
今よりも新宿寄りにホームがあった時代、その場所はどこだったのでしょうか。

踏切に挟まれていた南新宿駅

現在は新宿2号踏切の先にある南新宿駅は、かつて150mほど新宿寄りにありました。
距離としては電車の7両分と少しぐらいになるため、70000形(GSE)が完全に入ってしまうほどの距離を移転させたことになります。

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1973年まで南新宿駅があった場所は、新宿1号踏切と新宿2号踏切の間でした。
現在は新宿駅の地上と地下に分岐するポイントがあり、急カーブを電車が車輪を軋ませながら通過していきます。

ポイントが設置されていることからも分かるとおり、移転の背景には新宿駅の改良工事が関係していました。
2回目の改良工事で地下ホームを延長するにあたり、分岐する位置を小田原寄りに移す必要がありましたが、そこには南新宿駅のホームがあったため、移転することでポイントの設置を可能としたのです。

移転前に行われていたドアカット

新宿寄りにあったかつての南新宿駅ですが、移転を行う前は一部の列車でドアカットが行われていました。
踏切に挟まれていた南新宿駅は、ホームを延長するのに限界があり、列車の長編成化によってそれを超えてしまったのです。

移転前の南新宿駅は、中型車の6両編成までが停車可能なホームの長さで、1967年に2600形が大型車としては初の6両編成となって以降、ドアカットが行われるようになりました。
Googleマップで踏切間の距離を測ってみると、約112mという結果になることから、中型車の6両分が限界だったことが分かります。

2600形のドアカットは、上り列車が新宿寄りの先頭車、下り列車が小田原寄りの先頭車で行われ、ホームからはみ出した状態で電車が停車していました。
上下線でドアカットの車両を変えているのは、車掌がホームに出られるようし、かつ踏切の遮断時間を片方に集中させないようにするためと思われますが、南新宿駅の移転にはこの運用を解消する目的もあったのかもしれません。

おわりに

1973年に現在地へと移転し、直線に駅がある状態となった南新宿駅。
9000形の6両が登場したのは1973年の終わり頃ですから、ドアカットをしなくても済むように時期が調整されたのでしょうね。