ふじさん号の乗り入れを行うため、新松田駅の近くでJR東海の御殿場線と線路が繋がっている小田急。
新車の搬入や、車両の改造や譲渡時もこの連絡線を使用しており、小田急の運転士がJR貨物のEF65形を動かす珍しい光景が見られます。

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このような扱いがあるため、小田急の車両を輸送する際はEF65形を使用する必要がありますが、引退の日が近付きつつあるようです。
小田急の運転士が運転できるのはEF65形のみですが、今後の搬出入はどうなっていくのでしょうか。

最終全検を終えているEF65形

従来は小田原駅で行われていた車両の授受は、急行の全線10両化で配線を変更したことにより、線路自体の繋がりが絶たれてしまいました。
そこで、新たに車両の搬出入を行うようになったのが新松田駅で、御殿場線との連絡線を使用して、新車の搬入や、リニューアルのための搬出が行われるようになります。

搬出入の場所を変更しただけではなく、扱いについても大きく変わった部分があり、御殿場線の松田駅から新松田駅までは、連絡線を含めて小田急の運転士がEF65形を運転し、特別な資格を有した乗務員がそれを担当するようになりました。
このような扱いとなったことにより、JR貨物のEF65形が新松田駅まで入線するようになりましたが、車両の搬出入が行われるのは深夜となっているため、人の目に触れる機会は多くありません。

長くEF65形で行われてきた車両の搬出入ですが、今後については気になる動きもあります。
2022年の段階で、JR貨物に所属するEF65形は最終の全般検査を終えており、検査切れのタイミングで数を減らしていくようです。
2022年の6年後は2028年となりますが、直前までEF65形で実施というわけにもいかないでしょうから、数年以内には何らかの動きが出てくるものと思われます。

今後の搬出入はどうなるのか

EF65形が引退した場合、小田急側でもそれに合わせた対応を迫られます。
小田急の運転士が訓練を受けているのはEF65形であり、そのまますぐに他の電気機関車に変更するわけにもいかないためです。

最も可能性が高いこととしては、新たにEF210形等の訓練を小田急の運転士が受け、入線する電気機関車自体を変えてしまうことでしょう。
EF65形以外が物理的に入線可能かは不明なものの、そこはできるようにすればよいわけですから、最も可能性が高いといえそうです。

車両を授受する場所を変える可能性については、ないとまではいえないものの、かなり低いと思われます。
小田原駅や藤沢駅でJR東日本の東海道線と線路を繋げば、昔のように車両の搬出入をできなくはありませんが、どちらも用地としては厳しいようにも見えるため、考えにくいというのが正直なところです。
可能性が少しでもあるとすれば、それは小田原駅のほうとなりそうですが、車両を停めておくだけの線路を敷けるのかという点では疑問符が付きます。

他社で行われているような陸送についてはどうでしょうか。
陸送は特別な許可を得て行う必要があり、様々な制限も伴うことを踏まえると、御殿場線と線路が繋がっている小田急があえてこの手段を選ぶとは考えにくく、可能性はほぼないように思います。

大穴としては、小田急が新たに電気機関車を保有するという方向性もあります。
名鉄のように小型の電気機関車を製造すれば、他の用途でも使用できるというメリットはあるため、絶対にないともいえません。
可能性としてはかなり低そうですが、小田急における令和版の機関車を見てみたい気もします。

おわりに

EF65形の今後が見えてきたことで、何らかの動きがありそうな小田急における車両の搬出入。
使用する電気機関車の変更で対応する可能性が高いものの、どのような結果となりますでしょうか。