全46両の少数世帯ながら、とにかくバリエーションが豊富だった小田急のABFM車。
2枚窓が基本の2200形に加え、貫通型となった2220形、2300形、2320形をまとめ、晩年は同一形式として扱われていました。
そんなABFM車ですが、貫通型の先頭車に設置されている手すりに特徴があり、車両によって長いものと短いものがありました。
一定の法則はあったものの、当てはまらない車両も存在し、色々と謎が多い形式群となっています。
一部の車両で湘南顔と呼ばれる非貫通のデザインを採用した小田急ですが、2200形のように他編成と繋ぐ機会が多い車両では都合が悪く、2220形以降は貫通型を基本とする方針に回帰していきます。
通勤型車両で非貫通の車両が登場するのは3000形までなく、一定の長編成化が進んでからとなりました。
小田急の車両といえば、貫通扉の脇にある手すりの存在が特徴的で、2000形まで伝統として設けられることとなります。
2200形の2枚窓車を除き、ABFM車にも手すりが設けられていましたが、全車両が同じものを装備していたわけではなく、長さに違いが見られました。
写真提供:まにまに会長様
まずは長いタイプの車両ですが、窓の下辺部分から貫通扉の下部までとなっています。
大型車の2600形等と比べても大きな手すりとなっており、ABFM車の前面がどこか武骨に見えるのは、このような要素も影響しているのかもしれません。
写真提供:まにまに会長様
短いタイプの車両は、貫通扉の下部まで届いていないのが特徴でした。
その後の車両で標準となっていくのはこのタイプで、大型車となってからもこのサイズ感が基本でした。
前面に貫通扉がある車両について、それぞれがどちらの手すりだったのかを確認すると、その理由が見えてきます。
以下の一覧は、各車両の手すりがどちらの長さだったのかを示したものです。
【2200形】
デハ2217:長
デハ2218:短
【2220形】
デハ2221:長
デハ2222:短
デハ2223:長
デハ2224:長
デハ2225:長
デハ2226:短
デハ2227:短
デハ2228:長
デハ2229:長
デハ2230:短
デハ2231:短
デハ2232:長
デハ2233:長
デハ2234:短
デハ2235:短
デハ2236:長
【2300形】
デハ2301:短
デハ2302:短
デハ2303:短
デハ2304:短
【2320形】
デハ2321:長
デハ2322:短
デハ2323:短
デハ2324:長
デハ2325:短
デハ2326:短
デハ2327:短
デハ2328:長
眺めていくと分かるとおり、新造時から先頭車だった車両は長く、後に先頭車化された車両や、前面を改造した車両は短かったことが分かります。
2400形の手すりは短く、それと同じタイプが採用されたということでしょう。
しかし、基本的には上記の法則で説明ができるものの、なぜかこの条件に当てはまらない車両が存在しているのが、ABFM車のややこしさを象徴していました。
まず、2220形のデハ2223ですが、先頭車化された車両ながら長い手すりを付けています。
最後まで手すりが無塗装だった異端車ですが、そもそも長い手すりであること自体が法則から外れていたのです。
2200形のデハ2218と、2320形のデハ2325については、登場時から先頭車ながら短い手すりとなっていました。
古い写真を見ると手すりは長いため、事故で破損してしまった等、何らかの理由により交換したものと思われます。
貫通型の先頭車が多数派だったABFM車において、2枚窓の2200形は人気を博していました。
現在も小田急で1両、富士急行の引退後に譲渡された2両が残っていますが、その2両が解体の危機にある状況となっており、救い出して保存を継続するためのクラウドファンディングが行われています。
第一目標の金額を突破し、現在は次の目標を目指しており、達成時には2両が揃って今後も残ることができます。
なんとか2両を揃って残すべく、ご興味がある方は是非ご支援をお願いできますと幸いです。
個体差が豊富な形式群ですが、次回はもっと謎が多いドアのバリエーションについて振り返りたいと思います。
2枚窓が基本の2200形に加え、貫通型となった2220形、2300形、2320形をまとめ、晩年は同一形式として扱われていました。
そんなABFM車ですが、貫通型の先頭車に設置されている手すりに特徴があり、車両によって長いものと短いものがありました。
一定の法則はあったものの、当てはまらない車両も存在し、色々と謎が多い形式群となっています。
手すりの長さが2種類あった貫通型の先頭車
2200形をWN駆動方式に変更し、4両固定編成とした2220形は、貫通型の先頭車となりました。一部の車両で湘南顔と呼ばれる非貫通のデザインを採用した小田急ですが、2200形のように他編成と繋ぐ機会が多い車両では都合が悪く、2220形以降は貫通型を基本とする方針に回帰していきます。
通勤型車両で非貫通の車両が登場するのは3000形までなく、一定の長編成化が進んでからとなりました。
小田急の車両といえば、貫通扉の脇にある手すりの存在が特徴的で、2000形まで伝統として設けられることとなります。
2200形の2枚窓車を除き、ABFM車にも手すりが設けられていましたが、全車両が同じものを装備していたわけではなく、長さに違いが見られました。
写真提供:まにまに会長様
まずは長いタイプの車両ですが、窓の下辺部分から貫通扉の下部までとなっています。
大型車の2600形等と比べても大きな手すりとなっており、ABFM車の前面がどこか武骨に見えるのは、このような要素も影響しているのかもしれません。
写真提供:まにまに会長様
短いタイプの車両は、貫通扉の下部まで届いていないのが特徴でした。
その後の車両で標準となっていくのはこのタイプで、大型車となってからもこのサイズ感が基本でした。
各車両の手すりはどうなっていたのか
手すりに2種類の長さがあったABFM車ですが、なぜこのようなことになっていたのでしょうか。前面に貫通扉がある車両について、それぞれがどちらの手すりだったのかを確認すると、その理由が見えてきます。
以下の一覧は、各車両の手すりがどちらの長さだったのかを示したものです。
【2200形】
デハ2217:長
デハ2218:短
【2220形】
デハ2221:長
デハ2222:短
デハ2223:長
デハ2224:長
デハ2225:長
デハ2226:短
デハ2227:短
デハ2228:長
デハ2229:長
デハ2230:短
デハ2231:短
デハ2232:長
デハ2233:長
デハ2234:短
デハ2235:短
デハ2236:長
【2300形】
デハ2301:短
デハ2302:短
デハ2303:短
デハ2304:短
【2320形】
デハ2321:長
デハ2322:短
デハ2323:短
デハ2324:長
デハ2325:短
デハ2326:短
デハ2327:短
デハ2328:長
眺めていくと分かるとおり、新造時から先頭車だった車両は長く、後に先頭車化された車両や、前面を改造した車両は短かったことが分かります。
2400形の手すりは短く、それと同じタイプが採用されたということでしょう。
しかし、基本的には上記の法則で説明ができるものの、なぜかこの条件に当てはまらない車両が存在しているのが、ABFM車のややこしさを象徴していました。
まず、2220形のデハ2223ですが、先頭車化された車両ながら長い手すりを付けています。
最後まで手すりが無塗装だった異端車ですが、そもそも長い手すりであること自体が法則から外れていたのです。
2200形のデハ2218と、2320形のデハ2325については、登場時から先頭車ながら短い手すりとなっていました。
古い写真を見ると手すりは長いため、事故で破損してしまった等、何らかの理由により交換したものと思われます。
貫通型の先頭車が多数派だったABFM車において、2枚窓の2200形は人気を博していました。
現在も小田急で1両、富士急行の引退後に譲渡された2両が残っていますが、その2両が解体の危機にある状況となっており、救い出して保存を継続するためのクラウドファンディングが行われています。
第一目標の金額を突破し、現在は次の目標を目指しており、達成時には2両が揃って今後も残ることができます。
なんとか2両を揃って残すべく、ご興味がある方は是非ご支援をお願いできますと幸いです。
おわりに
登場時からの先頭車と、改造によって生まれた先頭車で手すりが異なりながら、何らかの理由で異端車も生まれたABFM車。個体差が豊富な形式群ですが、次回はもっと謎が多いドアのバリエーションについて振り返りたいと思います。
コメント
コメント一覧 (2)
ワタシダ
がしました
一つの考え方としては、キハ5000形とキハ5101号のものが一部転用されている可能性は無いのかということでしょうか。同車はホロを設置することになり、手すりを撤去していますので、せっかくのクロムメッキの手すりが余ることになったはずです(とはいえ6個ですけどね)。
ドアの違いについては、既に全車調べたデータを私のHPに載せていますので、ご参考にどうぞ(詳細について引用されてもかまいませんが、その場合引用書誌情報を記載なさって下さい)。ドアもかなりカオスでして、時代によって異なる場合はもちろん、1車で混在している旧形国電のようなケースまでありますよ。
ワタシダ
がしました