少しずつ廃車が進みながらも、一部の編成が西武に譲渡されていくことになる小田急の8000形。
現在もある程度の本数が残っているため、比較的目にする機会は多いといえますが、廃車が進むと一気に希少車種となってしまいます。

そんな8000形ですが、最近になって連結器の交換が発生しました。
以前から連結器の種類が混在する状況でしたが、このタイミングでの交換は何らかの意味がありそうです。

8000形で使われる2種類の連結器

1982年に登場した8000形は、増備の途中で装備する連結器が変更され、同一形式内で2種類を見ることができました。
具体的には、4両の8057Fと6両の8261FまではCSD 86を、4両の8058F以降と6両の8262F以降はCSD 100を装備しました。

前期車と後期車を見分けるポイントでもあった連結器の違いですが、2006年頃から形式を超えた連結器の振り替えが行われ、他の編成と繋ぐ機会が多い先頭車にCSD 100が転用されていきます。
CSD 100は解放用のシリンダー容量を増やしており、1000形以降にも採用されたものですが、使用する機会が多い先頭車に集約していくのは、合理的な判断だったのでしょう。

20240901_01

連結器の違いが分かる8000形の並びですが、左がCSD 100で、右がCSD 86と思われるものになっています。
思われると表現したのは、連結器の振り替え時に廃車発生品が混ざっているようで、CSD 86ではないものが使われているケースもあるようです。

6両の各編成で使われている連結器

元々連結器が2種類あった8000形ですが、4両と6両を繋いだ際に中間に入る先頭車については、CSD 100に統一された状態となっています。
しかし、4両の新宿方と6両の小田原方は編成によって異なり、使う機会はほぼないながらCSD 100となっている編成も存在しました。

そのような状況の中、最近検査を終えた8263Fのクハ8563について、CSD 100への交換が行われています。
今までにもこのような交換はありましたが、引退の日がそう遠くはないと思われる中、やや不思議な対応のように感じました。

連結器の交換が行われた背景を考えるため、現在も残る6両の小田原方先頭車について、装備する連結器を確認してみたいと思います。
以下は現在も残っている6両の編成で、小田原方先頭車の連結器がCSD 100の編成を太字としました。

8252F
・8253F
・8257F
・8258F
8260F
・8262F
8263F
8265F
8266F

だいたい半々というところですが、後期の編成に偏っていることが分かります。
登場時からCSD 100だったという理由もありますが、今回8263Fが交換されたことで、交換済の編成が西武に譲渡される可能性がやや高まりました。
というのも、遠くない未来に廃車となる車両で交換をしており、1000形にもCSD 100ではない編成が存在する中、8000形を対象とするには何らかの理由があると考えられるためです。

可能性は上がりつつも、不確定要素も存在しており、譲渡済の8261FについてはCSD 100になっていません。
しかし、改造時に交換される可能性も残っているため、出場後にはさらに判断がしやすくなりそうです。

おわりに

連結器の交換という細かいことながら、西武への譲渡に関連する動きとも考えられ、気になる事象といえます。
他の編成が今後どうなるのかも気になりますが、変化が起きないか注意して見ていこうと思います。