新宿から代々木上原にかけて、今も地上を電車が走っている小田急の小田原線。
建物が密集しているためか、現在も小さな踏切が多く残っており、昔ながらの私鉄らしい雰囲気となっています。

そんな新宿寄りの区間には、南新宿駅に隣接して南新宿2号踏切がありますが、南新宿1号踏切はありません。
番号が抜けている南新宿1号踏切は、いったいどこにあったのでしょうか。

現在は存在しない南新宿1号踏切

小田急の起点である新宿駅を出発すると、新宿1号、新宿2号、南新宿2号、南新宿3号と、いきなり多くの踏切が連続して出現します。
踏切の規模は様々ですが、歩行者専用の比較的小さな踏切が多く、廃止されずに多数が残っているのは興味深いところです。

小田急の踏切は、起点の新宿側にある駅から番号順に名付けられており、廃止等によって踏切がなくなった場合には番号が抜けた状態となります。
新宿から順番に見ていった場合でも、早速南新宿1号が抜けており、南新宿駅を出て最初の踏切は南新宿2号となります。

面白いのは、南新宿2号がホームに隣接した位置にあることで、いったい南新宿1号はどこにあったのだということになります。
列車の長編成化に合わせてホームを延長してきた過去はありますが、踏切があった位置にホームが重ねられたのでしょうか。

駅の移転で名称が変わった南新宿1号踏切

なくなってしまった南新宿1号ですが、ホームとなっている位置にあったのかというと、そうではないようです。
過去に南新宿駅は移転しているため、元々は現在の新宿1号と新宿2号の間にホームがあり、踏切に挟まれた位置関係でした。

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この写真の電車が走っている位置がかつての南新宿駅で、ホームの長さは中型車の6両分しかなく、2600形は先頭車の1両でドアカットを行っていました。
手前の踏切が新宿1号、奥が新宿2号ですが、この奥にある踏切こそがかつての南新宿1号です。

南新宿駅が移転先で営業を開始したのは1973年12月21日で、このタイミングで南新宿1号の名称を変更し、新宿2号にしたものと思われます。
廃止等によって踏切がなくなっても、番号を詰めることはありませんが、駅の位置が変わった場合や、新たに駅が設けられた場合については、名称の変更や番号の振り直しが行われるようです。

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半信半疑な部分があったものの、調べる限りここがかつての南新宿1号で間違いないようで、駅の改称や新設ではない名称変更としては、比較的珍しいケースとなります。
見方を変えれば、新宿から代々木八幡にかけての踏切は、ほとんどが廃止されずに残っているということにもなりそうですね。

おわりに

小田急線内の各所に目を向けると、番号が抜けている踏切が多数存在します。
かつての位置を明らかにするようなことも、今後はできればと思っています。