50000形(VSE)の引退後、前面展望席を設けた車両が70000形(GSE)のみとなり、少々寂しいラインナップとなってしまった小田急のロマンスカー。
新しい車両の登場が期待されていましたが、2024年9月9日のニュースリリースにおいて、新型ロマンスカーの設計に着手したとの発表がありました。

登場まで4年以上が見込まれる中、かなり早い段階で情報をオープンにしたことになりますが、気になるポイントがいくつかあります。
現段階での情報は限られますが、読み取れることを整理してみたいと思います。

新型ロマンスカーが2028年度に登場

月曜日の午後というタイミングで、小田急から驚くような発表がありました。
内容は新型ロマンスカーの設計に着手するというもので、2027年度に開業100周年を迎えることに合わせ、2028年度の運行開始が予定されているとのことです。







100周年の年ではないのかと思いがちですが、小田急は80周年の翌年に60000形(MSE)、90周年の翌年にGSEを登場させている等、前後に数年のずれはお決まりのパターンです。
2029年3月の運行開始を予定しているとのことなので、あと4年半後ということになりそうですが、前例どおりなら入線までは4年程度というところでしょうか。

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今回のニュースリリースで発表された情報は限られていますが、いくつかの気になるポイントがありました。
最も注目されているのは、新型ロマンスカーが30000形(EXE)の置き換え用としての登場であり、同時にVSEの後継形式でもあるとされている点です。
リニューアルが行われたEXEαは残りますが、未更新のままとなっている20両のEXEが置き換えられることになります。



製造メーカーは、近年の定番である日本車輌製造が引き続き担当しますが、驚くのはデザインの担当が変わることで、「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」ではなく、「COA 一級建築士事務所」がその役割を担うこととなります。
100周年という節目を迎えるにあたり、長年ロマンスカーのデザインを担当してきた岡部憲明氏から交代するというのは、驚く部分もありました。

発表で気になったポイント

2004年にVSEが登場して以降、小田急グループの様々なデザインに携わってきた岡部憲明氏ですが、気付けば20年以上もの歳月が経過しています。
デザイナーが交代する理由は不明ですが、年齢も75歳を超えていることを踏まえれば、両者で何らかの会話があったのかもしれません。

2028年度に登場する新型ロマンスカーは、正式にVSEの後継と銘打って登場するため、次のデザインを担う会社の覚悟も相当なものなのだと思います。
発表が行われる前から、水面下である程度は進められていたのでしょうし、選ばれたという要素は当然あるのでしょう。
次世代のロマンスカーをどのようにまとめてくるのか、期待しつつ今は待ちたいと思います。

さて、新型ロマンスカーはEXEの置き換え用としての登場ながら、VSEの後継車両というやや複雑な位置付けとされました。
相反するコンセプトの2形式が関係しますが、例えば4両と6両を繋いだ10両に前面展望席を設けるというような、そう単純なことではないようにも思います。

VSEを未更新のEXEで置き換えたような現状を踏まえれば、車両としては新型ロマンスカーでEXEを置き換えるが、コンセプトはVSEのようなものであるという可能性もあるわけで、両形式のどういった要素を盛り込んでくるのかは気になるところです。
連接車を再度登場させるハードルは高いといわざるを得ませんが、GSEのような7両としつつ、VSEのようにこだわった車両とする可能性もあり、どうまとめてくるのでしょうか。

新型ロマンスカーが登場するのは4年以上先と見込まれますが、設計に着手という早い段階での発表も気になりました。
VSEの引退にあたり、かなりの注目を集めたという事実や、前面展望席を備えた車両がGSEのみになってしまったという状況に、小田急は危機感があるのだと思います。
そのような危機感があるとしたら、観光仕様のロマンスカーも考えているのだと、早めに世の中に伝えておきたい意図があるのかもしれませんね。

おわりに

登場までまだ4年以上あると思われる新型ロマンスカーは、はたしてどのような車両になるのでしょうか。
今後も情報は都度出していくとのことなので、小田急ファンとして楽しみにしつつ、首を長くして登場の日を待つことにしましょう。