1988年のダイヤ改正から運行されるようになり、その後は小田原線の主流となっていった8両の各駅停車。
現在は新宿駅に6両が入線することはなくなり、各駅停車は8両と10両で運行されるようになりました。

代々木八幡駅のホーム延長が完了したことにより、2019年に10両の各駅停車が登場し、将来的には8両がなくなるといわれるようになりましたが、近年の動向を見る限りは異なる展開もありえるのかもしれません。

一時期より目立たない10両の各駅停車

準急に通過駅がある新宿から向ヶ丘遊園にかけては、ホームの長さが8両分までしかなく、長年に渡って各駅停車の最大両数が制限されてきました。
一方で、複々線化に合わせてホームの延長自体は断続的に進められ、一部の区間だけを走る10両の各駅停車が見られるようになります。

複々線化とは無関係だった南新宿、参宮橋、代々木八幡の各駅についても、最終的に10両分のホームに揃えられ、2019年以降は新宿から新松田までは10両の各駅停車が走れるようになりました。
1000形に1本、2000形に9本、3000形に15本の8両固定編成が在籍していましたが、1000形は組み替えにより10両化、3000形も中間車の増備で7本を10両化し、現在の8両固定編成は17本となっています。

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これらの17本については、その後10両化されるといった動きはなく、廃車まで今のままの状態で使われる可能性が高くなってきました。
両形式は車齢もそれなりに重ねており、これから大規模な組み替えや中間車の増備をする可能性は低いとみられ、編成を短縮する可能性のほうが僅かに高いぐらいかもしれません。

各駅停車の10両化が始まった頃は、朝のラッシュ時に10両を集めるような運用が組まれましたが、現在はあまりそういった傾向がなく、列車によって編成の長さが違うという程度の状況になりました。
生活様式の変化により、朝のラッシュ時における混雑が昔ほどではないためか、以前ほどの温度感ではなくなっているように思います。

8両が残るデメリットは大きいのか

ラッシュ時における混雑の緩和という前提がなくなったとしても、8両をなくして10両に統一することにはメリットがあります。
車両の運用を共通化できるため、将来的には8両の編成をなくし、10両に統一する可能性が高いのではないかという意見は多く、私自身もそう思っていました。

コロナ禍が終わったものの、小田急の利用状況は以前と同じ水準まで回復しておらず、ダイヤについても減便が行われたままとなっています。
減便後には保有車両数も減らしており、今後若干の増便はあるかもしれませんが、最盛期のダイヤと同じ水準まで戻す可能性は低く、大量増備で元の両数に戻す可能性は低いでしょう。

そのような状況の中で、17本もの8両を10両に置き換えた場合、それだけで34両も保有車両数が増えてしまいます。
さらに、この増結は列車の本数自体は増やせないため、増便する場合にはさらに車両の増備が必要となってしまうのです。
人口減少等により、将来的に利用者が減る可能性を踏まえると、全てを10両化することが必ずしも最適解とはいえず、今後の状況によっては逆に8両が再び増える可能性もあるように感じてきました。

8両と10両が混在するデメリットは、折り返し時に8両を優等列車にすることができないことや、ダイヤが乱れた際の運用変更が難しいことですが、小田急は8両を優等列車に充当しないことに強くこだわっているように感じる部分もあり、最混雑時を除けばもう少し柔軟に考えてもよさそうに思います。
日中の急行は各駅停車以上に空いているような列車も存在することから、前提を変えれば8両がいるデメリットは減少するため、予想外の展開となる可能性もあるといえそうです。

おわりに

種別が混在する小田急では、列車により混雑にかなり違いがある状況となっています。
ダイヤの組み方にもよるのでしょうが、10両への統一が必ずしも最適解とは限らない、そんな時代になりつつあるのかもしれませんね。