新型車両の設計に着手したことが発表され、一気に注目が集まる状況となった小田急のロマンスカー。
登場が待ち遠しくなる一方で、30000形の未更新車であるEXEについては、2028年度での引退が宣告された状態となってしまいました。

リニューアルで全編成がEXEαになる予定だったものが、20両を残して中止されてしまったようですが、そんな30000形の現状を整理しておきたいと思います。

リニューアルが中止された30000形

従来のロマンスカーとは大きくコンセプトを変更し、1995年度にEXEが登場しました。
地味にまとめられた外観や、前面展望席がなくなったことは賛否両論を呼びつつも、ロマンスカーにおける日常利用を浸透させた存在でもあり、通勤利用者等からの評判は高い車両でもあります。

10000形(HiSE)や20000形(RSE)が更新されることなく引退する中、登場から20年ほどが経過した2016年度よりリニューアルが開始され、内外装を一新したEXEαへと姿を変えることになりました。

20240701_01

リニューアルは10両単位で進められ、4両と6両を繋ぐ際にペアとなる、番号の末尾が揃った編成をまとめて施工するスタイルとなりました。
第1編成、第2編成、第4編成、第6編成、第3編成の順番でEXEαとなりましたが、コロナ禍に入って以降はリニューアルが停止してしまいます。

その後も第5編成と第7編成はEXEのままとなっており、追加でリニューアルが行われる可能性は年々低くなっていましたが、新型ロマンスカーに置き換えられることで、2028年度に引退すると今回発表されたことになります。
東洋経済の記事によれば、30000形は全編成のリニューアルが予定されていたものの、やはりコロナ禍の影響で見送りになっていたそうで、編成によって明暗が分かれる結果となってしまいました。

EXEとEXEαが混在する30000形の現状

余命宣告がされてしまったEXEと、これからも長い活躍が続くEXEαですが、現状について簡単に整理しておきたいと思います。

まず、各編成は竣功からどの程度の年数が経過しているのでしょうか。
竣功からの経過年数は以下のとおりで、太字は未更新車であるEXEを示します。

第1編成:28年
第2編成:28年
第3編成:27年
第4編成:27年
第5編成:25年
第6編成:25年
第7編成:25年

EXEのままで残っている20両は、3次車として増備された30両に含まれており、経過年数としては最も短くなっています。
しかし、短いとはいえ数年の違いでしかなく、大規模な更新をせずに25年が経過している状況です。

未更新車の引退時期が予告されたということは、見方を変えるとまだしばらくは走ることを意味しますが、仮に2028年度末まで活躍するとした場合、経過年数はどうなるのでしょうか。
計算してみたところ、僅かに30年を超えることはない程度になるようですが、それなりに頑張らせるということになるようです。
一方で、全く手を入れてないということではなく、防犯カメラや荷物置き場の設置に加え、窓枠の修繕等が行われているようで、当面の仕様を見越した対応ということなのでしょう。

EXEαについては、新型ロマンスカーの登場後も残りますが、7000形(LSE)のケースを踏まえると、更新から20年ぐらいは走る可能性があります。
その場合は、あと10年から15年程度の活躍が見込まれ、車齢40年に迫るかもしれません。

おわりに

新型ロマンスカーの登場という明るい話題の裏で、静かに余命宣告がされてしまった20両のEXE。
まだ当面は元気な姿が見られますが、既に晩年と呼ばれる時期になっていることは間違いないようです。