小田急の駅周辺において、近年で最も風景が変化した場所といえば、登戸から向ヶ丘遊園にかけてではないでしょうか。
複々線の完成よりも少し遅れてしまいましたが、駅周辺は一昔前とはまるで違う風景になっており、かなり整理された状態になってきました。

向ヶ丘遊園から登戸にかけてといえば、区画整理の遅れにより暫定的に3線となっていることが特徴で、登戸駅についても中途半端な状態で完成しています。
高架下の道路も開通し、駅周辺の用地は空いた状態となりましたが、今後進展はあるのでしょうか。

登戸野川線の開通と駅舎の状態

一部に残っていた建物が解体され、区画整理に進展が見られつつあった登戸駅周辺ですが、2024年8月の終わりに大きな変化がありました。
変化があったのは小田原寄りの部分で、高架下を通る登戸野川線が開通し、その後は東西を抜けられるようになっています。

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現地の様子はこのようになっており、十字路となった交差点には歩車分離式の信号機も設置されました。
区画整理事業自体は終わっていないため、周辺では駅前広場を中心とした工事が続いていますが、小田急の駅に隣接する部分は完成形へと近付きつつあります。

現在の登戸駅は2面4線の配線となっていますが、高架化された当初は下り線の新宿方にポイントがあり、2面3線として運用されていました。
1番ホーム用のスペースは元々用意され、番号も飛ばされて2番ホームから始まっていましたが、小田原寄りの区画整理が進まなかったため、暫定的に1番ホームを使わない状態としていたものです。

複々線化事業が完了しようとする頃になっても状況は変わらず、小田急はやむを得ず下り線の新宿方にホームを延長し、小田原方にポイントを配置することで2面4線化を行いました。
その状態が今日まで続いていることになり、完成した状態ではありながら、登戸駅は中途半端な姿となっています。
開通した道路上も仮設のような状態が目立ち、本来はもっと小田原寄りまでホームが設けられる予定だったことが、現在の姿からも容易に想像できる状況です。

気になる登戸駅の今後

こうして今日まで中途半端な状態となっている登戸駅ですが、2018年に1番ホームの使用を開始してから、早くも6年が経過しました。
新宿方に延長されたホームは、仮設というほど簡素なものではありませんが、他の場所よりもかなり狭くなっており、上屋も低いものが使われています。

既に経過した年数を踏まえれば、仮設にしなかったことは理解ができますが、この先もこのままなのかというと、そこまでを想定した造りではないようにも思うのです。
しかし、既にホームドアの設置を完了した状態であることから、仮に駅を最終状態に仕上げるとなった場合には、移設等の必要にも迫られることになります。

そこで気になるのが、登戸から向ヶ丘遊園にかけての暫定3線状態で、こちらも区画整理で用地が確保された状態になっていることから、線増をできなくはない状況です。
僅かな距離ではありますが、複々線にすればダイヤ作成上のメリットはあるため、小田急は今後どのような決断をするのでしょうか。

登戸駅の完成形態と、向ヶ丘遊園までの複々線化はセットであるともいえるため、動きがあるとしたら同じタイミングとなることでしょう。
2025年度には登戸1号踏切が廃止され、小田急が歩道橋を整備する計画となっていますが、その段階でも3線のままとするのかが気になるところです。

おわりに

周辺の区画整理が進む中、現在のところは目立った動きがない小田急の登戸駅。
利用者が大きく増えることはないと見込まれるこれからの時代において、小田急がどのように動くのか、登戸駅の状態は色々と悩ましい部分だといえそうです。